2012年5月26日 東京多摩支部平成24年度通常総会開催


総会集合写真

 平成24年度通常総会が5月26日、立川市女性総合センターで開かれた。総会には会員現在数239人のうち委任状とあわせ178人が出席、公益社団法人への移行に伴う支部規約の変更をはじめ23年度事業報告・収支決算案、24年度事業計画・予算案などを審議し、いずれも賛成多数で承認した。平成22年2月に発足して以来、3年目を迎え、創立記念として始めた分境嶺踏査事業は、4月に最大の難関/雲取山〜長沢背稜を通過、懸案だった三支部合同登山も開催することができた。支部として初めて実施する初心者登山教室の開講準備が整った。竹中支部長は「着実に成長しているが、所期の成果は出し切れていない。新たな取り組みにチャレンジしたい。クラブライフの楽しさを実感してほしい。公益社団法人にふさわしい活動を模索していく必要がある」などと、語った。総会には、懇親会は、午後4時半から会場を代えて開催した。48人が参加した。

支部規約改正などを審議し承認
 バラバラと、大粒の雨が降りそうな空模様だった。会場への足を速めた。24年度通常総会は午後2時を少し回ったところでスタートし、富澤克禮総務委員長の司会で進めた。会議に先立ち、竹中彰支部長が挨拶した。設立3年目である。竹中支部長は「着実に成長しているが、課題も多い」と指摘し、具体的な行動指針を示した。
議長は、支部規約によって支部長が務める。議案は、支部規約については富澤克禮総務委員長、事業報告・事業計画は山本憲一事務局長、収支決算・予算案は柄澤洋城財務委員長、また人事異動について小川幹事長が説明した。

支部規約改正/活動を本会と一体として行う
 支部規約改正は日本山岳会の公益社団法人への移行に伴うもの。日本山岳会の支部に関する規程が理事会で議決され、これに沿って支部規約を変更するよう要請された。3月上旬までに改正案をまとめるよう指示があり、東京多摩支部も竹中支部長、富澤総務委員長、竹内総務担当幹事が改正原案を作成し、2月の幹事会で、検討・決定した。
規約の改正は、名称、目的、支部長の選任などについて本部から示されたヒナ型に沿って検討したが、ヒナ型に盛り込まれていない点についても、支部設立以降の実情を考慮し、改正すべきと思われるところを改めた。改正点は、あらまし次の通り。
1.名称を「公益社団法人日本山岳会東京多摩支部」として英文名を付記した。
2.目的に「活動を本会(日本山岳会)と一体として行う」と明記した。
3.事業に登山に関する“啓蒙”、“会員相互の親睦”を加えた。
4.支部長の選任には「本会の承認を求めなければならない」とした。
5.監事は、「支部の業務及び会計を監査」とし、従来の会計監査に加え業務監査を行うようにした。
6.評議員会を廃止した。本部評議員会が廃止されたことを関連させた。ただし評議員は継続し、任務として幹事会の諮問に応え必要と認めた事項について助言する。
7.事務局に、事務局長だけでなく事務局員を置くことができるようにした。
8.会計を置くことを明記し、幹事会の同意を得て支部長が委嘱することとした。
9.総会の議決事項から「財産目録」を削除した。大きな財産は本部財産になるためだ。貸借対照表で対応できよう。
10.会計については、本部のヒナ型に沿い、本部からの交付金等に関するものについて@事業計画案・収支予算案を幹事会の承認を経て会長に報告するA本会と一体的な会計処理を行うB会計処理の結果を会計年度終了後1か月以内に会長に報告する。
11.本部規程により解散する場合のあることを規定、また名称等重要事項については本会理事会の承認を得なければならないこととした。

23年度/分境嶺踏査に延べ165人が参加
〔事業報告〕組織を充実し、将来への展望を開く1年と位置づけスタートした。1月に新入会員の獲得、多摩地区在住会員の支部加入促進、会員の行事参加促進などを課題として支部活性化プロジェクを立ち上げた。6月には予算と決算の一体化を図るために財務委員会を設置。また緊急時の連絡網の構築、山岳保険加入状況の確認、救援基金・積立金の設定、安全啓蒙活動などを課題とする安全委員会を設置した。11月、新入会員オリエンテーションを開催し行事への参加と委員会活動への参画を図った。支部活性化プロジェクトから「支部活性化への提言」が出され、各委員会の活動に反映させるとともに、提案を受け「初心者登山教室プロジェクト」を発足させることとした。
支部創立記念として始めた分境嶺踏査事業は4回実施し延べ165人が参加した。うち支部会員は108人、一般参加者は57人だった。定例山行は日光白根山、高川山など4回実施し延べ42人が参加した。自然観察は御岳山レンゲショウマなど5回実施し延べ106人参加。サテライトサロンは吉祥寺などで22回開催し延べ386人が参加した。
〔収支決算〕 支部会費(245名)490、000円、支部助成金(209名)313、500円など収入合計を中心に年始晩餐会会費を含め収入は874、143円。支出は総会・オリエンテーション会場費、名簿作成費、封筒代など総務委員会費142739円、「たま通信」の発行など広報委員会費271、366円、トランシーバー購入費など山行委員会費121、050円など計728、956円で収支差額は145、187円となった。収支差額の2分の1を安全対策資金として積み立てることになっているが、すでに寄付金63、000円のうち50、000円(金中氏寄贈分)を安全対策費として積み立てており残りの47、593円が当期積立金となる。これにより、積立金は225、066円となった。貸借対象表のなかで貯蔵品76、368円とあるのは、Tシャツのほか年始晩餐会などで販売する本部グッズが買取制となり、支部在庫として所有しているため。

24年度/登山教室・平日山行などスタート
〔事業計画案〕 分境嶺踏査事業は小沢峠で一応完了し、番外編として鴨沢から仏舎利塔から金風呂を経て三頭山まで歩く。5/18−20(鴨沢→雲取山→一杯水避難小屋→東日原)▽7/28−29(奥茶屋→棒ノ折山→−杯水避難小屋)▽10/27(奥茶屋→棒ノ折山→小沢峠)▽11/23−24(鴨沢→仏舎利塔→金風呂→三頭山)。定例山行は6/30−7/1上州武尊山▽8/24−26朝日連峰▽9/29雁が腹摺山▽3/30−31北八ヶ岳。平日山行(第3木曜日)は4/19岩殿山▽5/17高水三山▽6/21花咲山▽7/19日の出山▽9/20大霧山▽10/18本仁田山▽11/15牛の寝通り▽12/20浅間尾根▽1/17青梅丘陵▽2/21湯河原幕山▽3/21大野山。 自然観察会は三ツ峠アツモリソウ保護観察、御岳山レンゲショウマ観察、青梅市ボーイスカウト自然観察、国立市四小高尾山ハイキング、高尾山シモバシラ観察。このほか、調査活動として御前山水質検査、初心者登山教室を予定。懇親会は4/27に小河内峠越えとノラボウ菜収穫のほかビアパーティー、年始晩餐会、スキー&スノーシュー懇親会など。新入会員オリエンテーションは11月開催予定。
〔予算案〕 支部会員を241名とし会費収入を482、000円と見込む。終身会員など日本山岳会の会費を徴収されない会員がいるので本部からの運営交付金・事業補助金は210名とし計525、000円と見込む。本部からの補助は、昨年は1人あたり1、500円だったが、千葉、埼玉支部とともに異議を申し立て今年度は全国並みに2、500円に増額された。収入合計は1、007、000円。事業活動・管理費は本部にそろえ勘定科目別に集計し印刷製本費261、200円、通信費・運搬費215、800円、会場等借用費147、000円などとした。支出合計は1、007、000円。
人事異動では、新しい幹事に大蔵喜福、柄澤洋城の両氏が就任。これら議事終了後、小山義雄安全委員会委員長から安全対策積立金の創設趣旨説明があった。
懇親会は、立川駅前の「さくら水産」で午後4時30分から催した。竹中支部長の音頭で乾杯し、和やかに賑やかに盛り上がった。この日、竹内洋岳氏が日本人で初めて8000m14座の登頂に成功したというニュースが伝わり、会場は快挙に沸いた。45人参加。 

質疑応答
林榮二会員 運営交付金、事業補助金を平たく言えばどのようなお金なのか。どう違うのか。 竹中支部長 運営交付金は、共益事業として支部会員のために使う。これに対し事業補助金は公益目的事業のために使うおかねだ。たとえば一般の人と一緒に登っている分境嶺踏査や初心者登山教室は公益目的事業であり、事業補助金はこれらに必要なおかねとして使う。レシーバーは分境嶺踏査に必要なので事業補助金から買った。本部にきちんと領収書を提出しなければならない。 小嶋一男会員 御前山で水質調査をする計画だが、なぜ御前山なのか。 柄澤財務委員長 東京都岳連が御前山と三頭山で水質調査を実施している。そのやり方を学ぶので、たまたま御前山となった。将来は東京多摩支部で独自に場所を選定して行いたいと考えている。 大船武彦会員 予算案の説明資料として、おおきなプロジェクトごとの予算が明示されている。決算もプロジェクトごとに行うのか。 柄澤財務委員長 あくまで予算の内容を分かりやすくしたもの、と考えてほしい。 長尾武彦会員 「山を眺める会」のような同好会の活動も総会で取り上げてほしい。会員が少なく募集している。会員増加に協力をお願いしたい。

承認された役員異動
幹事、大蔵喜福▽同、柄澤洋城▽評議員(会計監事)田上和儀▽同(同)古市進▽監事(評議員)澤登均▽監事(評議員)長澤登▽退任(幹事)竹内康雄

支部長/支部活性化へ行動指針を示す
支部長が挨拶のなかで指摘した課題と行動指針は、あらまし次のとおり。課題を指摘するだけでなく、これらの課題について、解決すべき方策を具体的に提案した。
 課題
 @昨年度は「支部の基礎固めと外延的発展」を掲げて多摩地区在住会員の支部入会促進並びに支部組織の若返り、登山愛好者の裾野拡大を企図した。所期の成果を出しきれていない。
A本年度は、少々マンネリ化した支部運営について、発足時の「自分たちのための、自分たちで創る、自分たちの支部」のモットーに沿った活動を進めていきたい。
B全体としての会員の若返り、若い会員の入会促進を図る。JAC全体に先駆け、この東京多摩支部で若手会員の拡大を図りたい。
C支部事業に参加する会員の偏り、固定化からを脱していない。せっかくつくった多摩支部だ。山登りにかぎらないクラブライフの楽しさを実感してほしい。
 行動指針
@公益社団法人に相応しい活動を模索する。
A初心者登山教室を成功させ軌道に乗せる
B登山の記録、紀行文等を発表する場を提供する。
C多摩地区の高校等の登山関連課外活動への協力などについての調査・企画も手掛け、息長く続けて登山への理解者を増加させたい。
D分境嶺踏査に代わるプロジェクトの検討を始めたい。
E公益的な見地から「孫の日」を設定して広く呼び掛けることなども検討してみたい。
(文/橋重之 写真/高橋重之・澤登 均)
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