安全登山講習会 「すぐに使えるロープワーク」     安全委員会


   日時   2016年5月15日(日)
   会場   青梅丘陵展望広場
   参加者  石井秀典、市川義輝、植草由利、大船武彦、岡 義雄、鬼村邦治、小野勝昭、
           北原周子、河野悠二、佐久間マサエ、仲谷朋尚、西谷可江、西谷隆亘、
           東 洋子(埼玉支部)、広瀬雅則、八木佳苗 16人
   講師   小山義雄

 5月15日、青梅丘陵でロープワーク講習会が開催された。2月23日に立川市女性総合センターで行われた机上講習の実践編である。講師は机上講習と同じく、安全委員会の小山義雄会員が務めた。
青梅駅に集合し、梅岩寺の脇から青梅丘陵へ。駅から20分ほどで会場の展望広場に到着した。曇り空ではあったが、都心方向の眺望がすばらしい。
 準備を整え、さっそく講習に入る。装備は、テープスリング、ロープスリング、カラビナなど。各自が所有するものを持ち寄った。
 本日のテーマは、ロープワークの基本であるフィックスロープを張ること。(1)シートベントと(2)インクノット、この2つの結び方を使った方法を学ぶ。

アンカー設置時のポイントを説明

まずはスリングやカラビナの携帯方法から


 まずはシートベントの復習から。ロープとロープをつなぐのに有効な結び方である。講師からシートベントの結び方を教わったあと、参加者同士確認し合いながら、全員ができるようになるまで繰り返し練習を行った。シートベントだけでも結びがとれることはないが、末端を20p残して止め結びをすることが大事だという。似た結びのスクエアノットにならないよう注意を受ける(スクエアノットはロープの材質によっては両方からロープを引くと抜けやすい)。
 次に、アンカーと中間支点のとり方を教わる。アンカーは、@スリングを立ち木の幹に巻いて止め結びで固定し、Aスリングとメインロープをシートベントと止め結びで直接結ぶ方法で作成。中間支点は、@スリングを立ち木の幹に巻いて止め結びで固定し、Aスリングにカラビナを掛け、Bカラビナとメインロープをインクノットで結ぶ方法をとった。中間支点をとる時は、メインロープをなるべくピンと張り、緩くならないようにする。もうひとつ、より簡単で合理的な方法として、アンカーをインクノットでとる方法も教わった。この方法を用いると、数秒でアンカーをとることができるので、とくに緊急時に有効だという。メインロープを立ち木の幹にインクノットで結び、止め結びで固定する。講師から説明を受けたあと、インクノット(カラビナに結ぶ方法、立ち木に結ぶ方法)の手順を復習し、アンカーと中間支点のとり方を各自で実践した。番外編として、ロープの中間に結び目を作る時などに用いる、インラインエイトノットという結び方も紹介された。


スリングを使ったシットハーネスの作り方

真剣な表情でアンカーをセット


 昼食後は、「番外」としてガルダーヒッチを使った引き上げの方法を教わった。自力歩行が可能な負傷者の引き上げを想定している。ガルダーヒッチは、引き上げる時にはロープが動くが、手を離すと止まるので、負傷者を安全に引き上げることができる。手順は以下の通りである。@スリングを立ち木の幹に巻いて止め結びで固定し、引き上げのためのアンカーを作成するAアンカーのスリングにカラビナ2枚(安全環なし、同じ形状のO型がロープ操作がスムーズ)を掛けるB2枚のカラビナにメインロープを掛けるCロープで輪を作ったら、今度は引き上げる時に下側になるカラビナだけに掛ける。ガルダーヒッチによる引き上げの方法を実践し、チェストハーネスとヒップハーネスの作り方を復習した。  続いて、同じく「番外」で、現在ではほとんど教わることも使われることもないが、いざというときの懸垂下降に有効という肩がらみと、ブーリンノットを教わった。肩がらみはエイト環やカラビナなどの道具を使わず、太ももから肩にロープを回して下降する方法で、各自交代で実践。ブーリンノットも繰り返し練習した。最後に、プルージックよりも締まりやすくて緩めやすいクレムハイストという結び方が紹介され、終了となった。


参加していただいた皆さん

ロープワークは慣れが必要


 今回の講習会は、終始和やかな雰囲気の中で行われ、簡単で実用的なロープワークの方法を楽しく学ぶことができた。参加者からは、このような講習を定期的に行ってほしいとの声も上がっていた。学んだ内容を繰り返し練習し、今後の山行に活かしていきたい。
 なお、シートベントとインクノットの結び方、チェストハーネスとシットハーネスの作り方については、ホームページの報告の中に写真付きでわかりやすく掲載されているので参照してほしい。
(文:八木佳苗/写真:石井秀典)



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