第1期中級登山教室 7月山行「剱岳」報告


剱岳山頂にて


   日時   2019年7月27〜29日(土〜月)
   集合   新宿都庁前大型バス乗り場 7月26日(金)22:40(23:00 発)
   山行形態 テント泊山行
   天候   1 日目 晴れのち曇り時々雨
          2 日目 曇り時々雨 朝方3 時頃まで風雨。6 時以降風は収まり時々雨。
          3 日目 曇り時々雨 室堂午後晴れ
   行程
     1日目
     室堂バスターミナル7:10 着 朝食・準備・WC 等
     8:00 室堂→8:55 雷鳥平9:05→9:55 新室堂乗越10:05→11:40 劒御前小屋12:00→
     12:45 劒沢キャンプ場
     2日目
     6:30 劒沢キャンプ場→7 :05 剣山荘7:25→9:30 前劒9:50→平蔵ノコル→
     11:15カニのタテバイ→12:15 劒岳12:50→13:10 カニのヨコバイ→15:00 前劒→
     16:40 剣山荘16:50→17:20 劒沢キャンプ場
     3日目
     7:10 劒沢キャンプ場→8:15 剣御前小屋8:25→9:50 雷鳥平→11:00 みくりが池温泉(入浴)
     →12:15 室堂12:45=黒部アルペンルート=14:25 扇沢(解散)
   参加者 10名(受講生7名、講師3名)
    講師:宮崎紘一(山行L)、佐藤守、北島英明
    受講生:清水茂美(企画)、青木義仁(装備)、中原三佐代(食糧)、村岡庸こ(食糧)、
         富永真由美(安全/会計)、齋藤理恵子(安全/会計)、西山さより(記録)
   記録  文/西山さより  写真/各自持ち寄り


1日目
 夜行バスは10 分遅れで晴れ上がる室堂2420mに着いた。観光客に交じって登山装備の人々もかなり目立つ。青空の下、玉殿湧水の前で朝食を済ませ荷を分け合って出発した。雷鳥平に向かって150mほどの下り。地獄谷からは水蒸気があがっている。途中の展望台から日本で最初に発見された氷河地形の圏谷、立山の山崎圏谷をみる。
 下りが終わり雷鳥沢のテント場から浄土沢を渡り、登山道に入るとすぐに雷鳥坂と新室堂乗越の分岐点だ。雷鳥坂を避けて乗越から尾根歩きして500mほど標高を上げていく予定だ。10 時過ぎもうガスが出て曇りがちだ。雷鳥坂を上がる登山者を見ながら、別山乗越(剣御前小屋)へ11:40 到着。計画書の時程どおりである。昼食休憩後12 時、220mほど下る劒沢キャンプ場へ向かう。目の前に現れた雪渓を数分トラバース気味に下りきるとテント場が開けていた。13 時前なのと天気予報も悪いのでテントの数は50 張り程度か。劒岳もガスの切れ間に少し見える。今思うと劒岳を目にしたのはこの時だけだった。やがて少しパラパラと雨が落ちてきて、張った2 テントに皆収まった。
 その後も雨が降ったりやんだりなので炊事テントの食担より指示を受けながら各テントにて夕食をとる。その後リーダーが天気予報を確認すると、今夜は3 時頃まで雨が降り風も強まり、明日は午前中曇り霧、午後から晴れ間ありとのこと。計画の3:30 発予定を変えて翌日は5 時朝食、6 時出発と指示を受ける。18:30 就寝 




2日目
 4 時前、雨は小止みしているが風が強い。風速10mくらいではないかとのこと、強まったり弱まったりしている。前の晩に朝食も配給を受けていてお湯を沸かしてお茶やみそ汁とともに食す。5 時半この時点では待機を告げられる。今日は、陽のあるうちにテントまで戻ればよいのでと天候の様子見だ。ガスが切れかけてまたすぐ視界が白くなる。雨もポツポツと降ったかと思えばやむ。あまり回復傾向とは思えない。ただ朝方の強い風はもう吹いていない。  雨が切れていた6:15 頃出発の号令がかかった。6:30テントの張り綱の押さえを補強し体操をして、講師の方が先頭で歩き出した。20〜40mほどの雪渓を4回横切った。7:05 霧の中に浮かぶ剣山荘でトイレと衣服調整。雨脚が強くなって雨具を身に着ける。「風が強いので」と前劒や前劒の門から引き返してきたという数パーティーとすれ違う。




 7:35 金属プレートに「1 の鎖」とあり、鎖がかけられた岩場を上り始める。落石を起こさないよう注して歩くように指示がある。途中天気回復待ちを兼ねた休憩をして様子をみるが雨は引かず、だが撤退の指示は出ない。一服劒に気づかず過ぎて、前劒の門5 番鎖のプレートまで渡された金属製の橋を数メートル歩くと、足を置くだけの幅はあるが片側スッパリ切れたトラバース。今日初めて鎖をしっかり握りしめた。
 前劒付近でハーネスをつけた。テープスリングにカラビナ2 枚をかけてハーネスと結ぶ。鎖1 区間にカラビナをかけて滑落を最小限に(1 区間分)済ませようという安全策だ。次の鎖区間に架け替えるときは、もう一枚のカラビナを先にかけて今までの区間のカラビナを外す。架け替えを済ませてから次の人に声をかけて鎖を空ける。



 10:40 頃7 番鎖平蔵の頭の鎖にとりつく。岩に新旧の鉄のボルトが打ち込んであり、それをステップやホールドに使い急傾斜を上がる。岩を上ったかと思うと巻いてすぐ下る。平蔵のコルからは平蔵谷が眼下に広がるはずだが、霧で視界がないため高度感のないまま9 番鎖のカニノタテバイへ着く。見上げると岩肌に鉄のボルトがいくつも打ってある。高さは20mほどか。11:15 佐藤講師が先陣を切ってくださる。最初の取り付きが見た目以上に難しい。宮崎講師がいよいよ垂直気味な岩場が始まる地点に待機してくださった。タテバイの最後の鎖区間は特に鎖なくしては体が上がらない。みな順調にタテバイを上がると核心部を過ぎた安心感で歓声を上げてしまった。ところが鎖場もよじ登る岩場もまだ続いていた。途中カニノヨコバイを示すプレート、早月尾根への分岐を見て、12:15 頂上の祠の後ろ姿を霧の中に見つけた。回り込んで2999m劒岳へ登頂。肩を抱き合い、手をたたき合う。頂上には先客が数人。風はない。ガスで眺望はない。集合写真と、かの三等三角点をカメラに収めた。





 昼食を済ませて12:50 下山開始。カニノヨコバイは一ケ所特にステップを置きにくい場所があると皆事前に知っていたが、視界が利かないため高度感がそこそこで講師の方々の指導もあり、赤ペンキの足場に足をのせ、岩肌に張り付きすぎずに張り付いて鎖だよりにトラバース、難所通過。と思うとすぐに高低差があり切れた岩間の移動がある。体の使い方の助言を受けやり過ごす。10mほどの垂直の梯子下り。気が抜けないが前後にパーティーがないため焦る必要もなかった。下り専用の鎖場を使って下る。
 15 時過ぎ、前劒付近で休憩する。16:40 剣山荘に着く。雪渓を渡って劒沢小屋に立ち寄る者と分かれて本隊が劒沢テント場に帰着したのは17:20 頃。2 晩目もやはり雨が降ったりやんだりなので、各テントにて夕食。
2 日目岩稜帯の歩行は、2 時間以上計画の歩程より多くかかってしまった。







3日目
 今日はテント撤収、下山、帰京。5 時起床、朝食。7:10 出発。企画係の受講生が先頭を歩く。朝から曇り空。時折雨も降る。
 8:15 剣御前小屋に到着。途中、常に登山道を見極めることに集中するように指導を受けた。剣御前小屋の休憩時間に先頭を歩く受講生(リーダー)がそっと下山路を見極めていたのに邪魔してしまったかもしれない。雷鳥坂は傾斜があり、段差が大きかったり、ざれていたりで気が張る道だ。雷鳥平まで休憩1 回。雷鳥平から階段状の上りが厳しい。振り返るとテント場がだんだん小さくなっていく、天候は回復傾向でガスがとれて立山三山も見えている。11:00 みくりが池温泉に着くころには晴れてきた。
 入浴の後、立山バスターミナル(室堂)へ。
 テント泊、岩場の登り下り、カラビナの架け替え、雨中の行動にだれも大きく体調を崩すことなく無事3 日間を終えた。




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