第3期初級登山教室 修了登山実習「雲取山」


雲取山

雲取山山頂にて


   日時  2016年3月12日(土)〜13日(日)
   行程  奥多摩駅集合 8:20 ⇒(バス)⇒ 鴨沢バス停 → 小袖乗越 → 堂所(昼食) → ブナ坂
         → 奥多摩小屋 → 小雲取山 → 雲取山 → 雲取山荘(泊) 13日 雲取山荘 7:00 →
         雲取山 → 小雲取山 → 奥多摩小屋 → ブナ坂 → 堂所(昼食) → 小袖乗越 →
          鴨沢バス停⇒(バス)⇒ 奥多摩駅
   参加者 32名(受講生18名、会員スタッフ14名)
    〔1班〕小河今朝美、清水節美、竹内恭江、富田実智代、松本敦子、茂呂よしみ、
        SL岡義雄、SL芦川昌子、講師 宮崎紘一、SP広瀬雅則、山行L河野悠二
    〔2班〕石原和子、市川俊彦、植草由利、鹿島陽子、齋藤理恵子、西山さより、
        L武藤篤生、SL石井秀典、講師 野口いづみ、支部長 竹中彰、SP中村哲也
    〔3班〕石川由紀子、澤村雅人、土橋奈緒美、中島かよこ、中原美佐代、吉川美鈴、
        L西村智磨子、SL佐久間マサエ、事務局長 山本憲一、SP長瀬秀史


 第3期の登山教室を締めくくる最後の実習は、冬の雲取山への1泊の行程である。この冬は暖冬で全国的に雪が少なく、第3期の登山教室でもそれまでの冬季実習で十分なアイゼン歩行練習ができず、今回の実習では積雪を期待していた。しかし、前日までの情報では雲取山も例年より積雪が少ないとのことである。天気予報によると天候も下り坂であまりよいコンディションは期待できない。集合場所の奥多摩駅前広場から見える山々もあまり雪が残っていない。バス停に並ぶ行列も例年より少ないようだ。不安を持ちつつ、点呼を済ませ増便のバスに乗車して出発地の鴨沢に向かう。


雪のついた樹林の中を進む

登山道に入ると雪景色となる


 雪がちらちらと舞う中、バス停前の駐車場で準備とミーティング、体操を行い班ごと順番に出発する。気温は比較的高く、小袖乗越の駐車場前で衣類の調整をする。登山道に入ると、山の斜面にはやや雪も見られるが、廃屋を抜けるまで歩道には雪はほとんど見られない。高度が上がるにつれ、道にも雪が目立ち、向かい側に見える赤指尾根も次第に白くなる。針葉樹の樹林帯を進むと、斜面の左上方の斜面にシカが現れる。受講生から歓声が上がるが逃げる様子はない。4頭ほど動かずにこちらを注視している。親子のようだ。
 堂所に到着するころにはすっかり冬山の風景になる。風はなく、馬酔木の枝についた雪が陽に輝いて美しい。昼食のあと行程や雪上歩行の注意などを受けて、アイゼンを装着する。暖冬でアイゼンを使う機会が少なかったせいか、つけ方がぎこちない受講生もいる。準備を終えると気を引き締めて各班順番に出発する。長いトラバースを慎重に進み、アイゼン歩行にも慣れたころブナ坂に到着、休憩を取る。枝に付着した雪が結晶状につながり美しい。


見事な樹氷林が続く

ブナ坂への巻道


 石尾根縦走路に出るとやや風が出てくる。展望は広がるが雪がちらちらと舞っており、真っ白で遠くの風景はあまりよく見えない。テント場と奥多摩小屋を越えると小雲取山に向けての急登である。順調に進むが視界が悪く、いつもは遠くからも見える雲取山の避難小屋がなかなか見えない。ようやく目の前の斜面の先に避難小屋が現れる。最後の斜面を登りきり、雲取山頂に到着する。視界は悪くやはり遠景は見えない。陽も落ちかけ気温も落ちてきたので明朝の晴天を期待して早々に雲取山荘に向かう。雲取山荘に向かう斜面の状態は、宮崎講師らが先行してザイル等を使わずに進めることを確認していたので、危険個所にスタッフが立ち受講生をサポートしながら、慎重に下る。全員が雲取山荘についたのは陽の落ちる直前であった。


出発まえに雲取山荘前にて

もう少しで山頂


 食事のあと全員で集まり修了式を行う。受講生の一人一人に竹中支部長より修了証が手渡される。その後、一人ずつスピーチをしていただくが、「雲取山はきつかった、自分に自信が持てた」という感想が多い。また、今後の登山に夢や期待を持っている。消灯までのわずかの時間の懇親会では、受講生の有志からの提案があり、登山教室終了後も連絡を取り合い登山等の活動を行ってゆくことが決まる。



富士山遠望

富士山をバックに山頂記念写真


 翌朝は、7:00山荘の前に集合。昨日までの雪は止み、視界も回復している。体操を終え頂上での展望に期待をしながら出発をする。頂上に到着、視界はあまり良くないが、昨日よりもかなり回復している。全員で記念写真を撮るが、風が強いので、やや風を受けにくい山梨側の頂上に移動し展望を楽しむ。富士山をはじめ、雲海の上に頭を出す山々の姿は神秘的である。思い思いに写真などを撮ったのちに出発、昨日登ってきた道を進む。アイゼン歩行にはすっかり慣れ急な下りも問題なく、石尾根縦走路からの展望を楽しみながら順調に進む。


ブナ坂から下山

雪に飾られた見返りの松


 昨日と同じ堂所で昼食を摂る。さらにしばらく進んでからアイゼンを外す。アイゼンを外すと、アイゼンのありがたみがしみじみわかるという受講生の声。予定よりも早くバス停に到着。バス停では北原会員が迎えてくれ、温かいコーヒーやお菓子で受講生をねぎらう。
 天候にも恵まれたとはいえず厳しい山行となったが、全員が踏破し、通常では得がたい風景や体験を通して受講生の顔には達成感が現れていた。教室の目標であるグループ登山を通した登山の仲間つくりも、受講生どうしの連絡網という形で実をむすびつつある。この教室が受講生の素晴らしい登山ライフ実現のきっかけとなることを期待している。
(記録文/岡 義雄 写真/河野悠二・山本憲一)



上の写真は拡大してご覧になれます。写真の上をクリック。