第3期初級登山教室 登山実習「鷹ノ巣山」


鷹ノ巣山山頂にて

鷹ノ巣山山頂にて

   日時  2015年10月3日(土)
   行程  奥多摩駅(7:45)=(8:15)峰谷バス停(8:50)→(9:50)登山口(10:00)→(11:05)休憩
         (11:15)→(12:00)休憩(12:10)→(12:37)鷹ノ巣避難小屋(13:10)→(13:40)鷹ノ巣山頂
         (13:57)→(14:35)水根分岐(14:40)→(15:10)榧ノ木分岐(15:15)→(15:30)休憩・小屋
         (15:40)→(16:25)休憩・木橋(16:35)→(17:55)奥多摩湖バス停
         (記録時間は先頭を歩いた1班のもので、後続班は、2〜30分のタイムラグあり)
   参加者 26名(受講生16名、会員スタッフ10名)
     〔1班〕L:岡義雄、SL:芦川昌子、小河今朝美、清水節美、竹内恭江、松本敦子、茂呂よしみ
         スタッフ:中村哲也
     〔2班〕L:武藤篤生、SL:小松原勝久、石原和子、市川俊彦、植草由利、鹿島陽子、
         川尻久美子、西山さより、スタッフ:宮崎紘一(講師)
     〔3班〕L:石井秀典、SL:八木佳苗、内田尚子、土橋奈緒美、中島かよこ、中原三佐代、
         吉川三鈴、スタッフ:清水茂美、河野悠二(山行リーダー)


 何をするにも快適な季節になり、とりわけ青い空に映える紅葉を期待できる登山シーズンになった。3期生は教室がはじまって早1年半、だいぶ体力、経験が身についてきて山に登るのが楽しくてしょうがないという感じだが、次第に歩行時間の長い山が増えてきた。今回の鷹ノ巣山は、登山口の峰谷集落から標高差1,150m、地図を見ても解るように、ジグザグが少なく、直登の連続である。また水根集落への下りは標高差1,200mと、聞いただけで膝の笑いが止まらなくなりそうな長いコースである。
 峰谷でバスを降りると期待通りの青空が待っていてくれた。渓流釣場のある峰谷川に沿って舗装された林道を20分ばかり歩き、三沢集落からは林道をショートカットする登山道を辿り、奥集落で一端林道と合流するが、桜並木を回り込んだところが登山口だ。林道の右側に立派な道標があるが、その道標が指差す方向の登山道の階段はあまりにも急で、崩れており通行禁止である。道標の2〜30m先の。左側のコンクリートの側壁を戻るように登山道ができている。マイカーはここまで入れる。この登山道入口からは右前方に榧ノ木尾根が、後方には峰集落がみわたせる景色のよいところである。しかしここから先は避難小屋まで、針葉樹や広葉樹の樹林帯で、せっかくの青空も林間に見え隠れして景色は良くないが、森林浴にはもってこいのところだ。やがて浅間神社の鳥居が右手に見えてくるので右折してその鳥居を潜る。いくつかの祠を右にみて進むと、やはり右手に浅間神社がある。ここで今日の登山の無事を祈って手を合わせ、頭をさげる。神社を過ぎるとこのコース唯一のジグザグ道である。ここを登りきったところが1,208m地点でさらに標高差100mばかり登ると少し平らになり絶好の休憩地である。尾根の直登の道はさらに続くがしばらくすると、左手前方に七ツ石から続く石尾根の稜線が林間に見え始め、やがて登山道は尾根から左に外れ巻道のようになると間もなく水場である。ここで顔を洗って心身を清め、最後の根っこだらけの急坂を上ると眼前に立派な鷹ノ巣山避難小屋があらわれる。
周辺には沢山のテーブル付ベンチやトイレがある。小屋の前の大きなモミジの木が色づき始め青空に映えて実に見事だ。ここで昼食をとり登山の楽しさを満喫する。


鷹ノ巣山への最後の登り

鷹ノ巣山避難小屋前での昼食


 小屋の右手の広葉樹林帯に石尾根縦走の巻道ルートがあるが、我々は少し上にある広い防火帯の頂上へ通ずる急な道を辿る。今までは樹林帯をひたすら登ってきたが、ここは天井が抜けたような青空が広がり、所々に点在する紅葉を眺めながらしばし急坂であることを忘れさせてくれる。頂上の手前2〜300mで振り返ってみると、日陰名栗山、高丸山、・・・そして右手奥には雲取山に連なる石尾根上部が見渡せる。3期教室最後の卒業登山で登る雲取山への夢が膨らむ。頂上からは大きな木の陰でこの方角は見えにくいのでここでの遠望をおすすめする。やがて広々とした山頂である。特に南面の眺めは素晴らしい。午後になって少し薄雲がかかってきたが、遠望を楽しむには問題ない。西方から、大菩薩、小金沢、滝子、三ッ峠、富士山、来月登る御正体、・・・石井リーダーが配布してくれた山名入りの展望写真を見ながら山名同定を楽しむ。おいしいごちそうを目の前にして全部食べたくなる(全部登ってみたくなる)ような意欲が湧き上がる。まさに「山頂のご褒美」をもらったような満足感を味わえる瞬間である。
 登っただけ下らなければならないのは登山の宿命である。今回は下山口である水根よりも高いところにある峰沢からスタートしたので、登った以上に長いコースを下らなければならない。山頂の景色に後ろ髪をひかれながらも先を急がねばならない。頂上直下のザラザラの急坂を慎重に下り、稜線縦走コースに別れを告げ、各ピークを巻いている石尾根縦走コースに入る。ここからは下山口である水根集落まで樹林帯の長いコースを黙々と下る。


水根沢の下り

山頂から望む富士山


 榧ノ木分岐の道標には、我々が歩く水根沢林道コースは度重なる大雨で一部分の登山道が崩壊しているためか「通行注意」の標識がつけられていたが、下見の時に問題ないことを確認済なので予定のコースを辿る。休憩小屋を過ぎてジグザグの急斜面を下ると枝沢にかかる木橋(梯子を横にしたような、しかし踏み板は靴の長さより幅が広い)をいくつか渡ると水根沢の本流に合流する。右岸から左岸への渡渉地点には立派な真新しい木橋が架かっていた。ここで十分な休憩を取り、この先の難所の注意点を説明をした。これから先約2kmは、落差の大きい木橋や、黒部の水平道路を思わせるような、急斜面を削って作ったような起伏の少ない登山道が続き、右の谷側は途中に木が多いので恐怖感は少ないが、転んで落ちたりしたら止まるところがないほどの急傾斜で、左の山側は岩が出っ張っているところもあり、ザックをぶつけてしまう危険性もあるところだ。一歩一歩慎重に、集中して歩くことを促して進む。やがて、左側に古いロープが点在しているが、あまりロープの必要性がないところなのでそれを使わないように指示する。ここからすぐに右手に水根集落の赤い屋根が見え、昔道と合流して、工房のところから舗装した車が通れる林道である。先頭を歩いていたい1班は辛うじて、日没前にこの林道に出たので、ヘッドランプは使わずに済んだが、後続の班は山道で日没となりヘッドランプを使用した。気候は良い時期だが「釣瓶落とし」の秋の日暮れの早いことを実感した。
 標高差の大きい登山、急な長い登り、足元の悪い長い下りを体験したお蔭で、受講生たちはさらに大きな「山頂のご褒美」を得、また一つ自信を深めたのではないでしょうか・・・。
(記録文/岡 義雄 写真/河野悠二)



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