第3期初級登山教室 登山実習「川苔山」


川苔山

川苔山山頂にて


   日時  2015年7月25日(土) 曇り
   行程  鳩ノ巣駅(8:35)→(9:35)大根ノ山ノ神(09:45)→(10:35)休憩・第2ノ沢(10:45)→(11:25)
         大ダワ分岐(11:35)→(12:25)舟井戸(12:35)→(13:05)川苔山山頂(昼食13:45)→
         舟井戸(14:05)→(14:35)大ダワ分岐(14:45)→(15:10)休憩(14:20)→(16:00)
         大根ノ山ノ神(16:15)→(17:05)鳩ノ巣駅
         ※歩行時間は1班の記録。
   参加者 23名(受講生12名、会員11名)
    〔1班〕L:岡義雄、SL:芦川昌子、SP:山本憲一、植草由利、小河今朝美、鹿島陽子、竹内恭江
    〔2班〕L:西村智磨子、SL:長瀬秀史、講師:宮崎紘一、SP:中村美奈子、清水節美、中島かよこ、
         中原三佐代、吉川三鈴
    〔3班〕L:武藤篤生、SL:辻橋明子、SP:竹中彰、山行リーダー:河野悠二、金丸恭子、
         川尻久美子、西山さより、松本敦子


 川苔谷の細倉橋―百尋ノ滝間は、長い間途中の桟橋掛替のため通行禁止であり、踊平方面への林道を迂回するコースを計画していたが、直前になって今度は百尋ノ滝近くでスズメ蜂の巣が見つかり、迂回路ないため百尋ノ滝―川苔山間も通行禁止になってしまった。しかたがなく、鳩ノ巣駅から大根ノ山ノ神・舟井戸経由のコースを往復することになった(4日前の21日に下見を実施)。
 頻繁に襲来する台風の合間の東京は、猛暑日の連続。山に登れば少しは涼しいのではないかと期待していたが、みごとにその期待を裏切られ、簡易温度計では、山頂でも30℃を越える真夏日! おまけに無風で、サウナに入っているような一日であった。


棚沢集落を抜けて登山口へ

しっかり準備体操


 鳩ノ巣駅近くの踏切を渡り、棚沢集落を縫う急な簡易舗装道路を登るとすぐに林の中の登山道である。通常は初めの1ピッチは短い時間で「お色直し休憩」(身体が暖まるので1枚服を脱ぐための休憩)を取るのだが、このコースは、途中に休めるような平らで広い場所もなく、また、これ以上脱ぐことができない状態で歩きだしているので、ゆっくりではあるがみっちり1時間歩き、「大根ノ山ノ神」の祠の前で最初の休憩。舗装された広い林道を100mばかり北上し、左手の登山道に入る。ここからの1ピッチは、比較的なだらかな傾斜で、本仁田山―大ダワの稜線と峰入川谷の中腹を巻くように登る。左から落ちてくる2番目の沢で2回目の休憩をとる。ここから登山道は右に大きく曲がり標高853m地点からは次第に急傾斜となってくる。何回かジグザグを繰り返すと、左から別の登山道が合流する。大ダワ分岐点で立派な標識がある。ここで3回目の休憩をとる。誰かが首に巻いていたタオルを絞ったらタラタラと滴が垂れてきた。


大根ノ山ノ神で休憩

暑さに負けずゆっくり進む


 道標の先はさらに急なジグザグ道が続き、その奥には屏風のような山があった。そこを右に大きく巻いて登りきる。相変わらず風はなくサウナ状態が続く。水飲み立休憩を取りながら登っていると突然目の前にベンチが現れ周りも平らになった。舟井戸である(その昔ここに舟の形をした湧水池があったとのこと)。すでに12時を過ぎていたのでここで少し腹ごしらえをする。誰かがまわしてくれた冷たい果物が、一服の清涼剤となる。少し元気を取り戻し最後の登りにかかる。昔小屋があったコルが山頂と思った人はまだ先があることを知ってがっくりしたようだが、本当の最後の10分を頑張りぬいて無事山頂に着くことができた。ずっと林の中を歩いてきたので、日差しはあまり気にしなかったが、山頂では高曇りで、富士山をはじめ遠くの山は見えなかった。しかし大菩薩や三頭山など近くの懐かしい山々は見渡せた。部分的には黒い雲もあり、雷雨を心配したが幸いにして、最後まで雨には降られなかった。頂上で回ってきた差し入れのミニトマトには塩がまぶしてあり、心憎いばかりに熱中症対策が施されていた。


下山時の休憩。今日も無事に終わるかな

山頂直下の最後の登り


 下りも状況は変わらなかったが、体力の消耗は少なく、ただし水分補給には気を付けて順調に(予定より10分程度だが早く)下山できた。
今回の「教室の実施目標」の1つに「夏山対策(熱中症・・)」が掲げられていたので、皆(受講生、スタッフともに)、その備えと覚悟はしていたものの、熱中症一歩手前(?)の過酷な状況を体験した。この1か月の間に、乗鞍では寒さと強風に晒され、そして今日は猛暑に襲われ、自然の力の恐ろしさを学んだ。我々もそうであったが、安全な範囲内で、己の体力の限界を知るということは、ある時は無謀な登山を抑止し、ある時は新しい挑戦への自信になるものだ。受講生の皆さんもぜひこの貴重な体験を次に生かしていただきたい。 (記録文/岡 義雄 写真/長瀬秀史、山本憲一)



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