第3期初級登山教室 登山実習「上高地山研宿泊山行」


上高地

梓川に架かる虹に歓声を上げる受講生


   日時  2015年6月27〜28日(土・日)
   行程  27日
         立川駅北口 多摩信用金庫本店前 公園前 【貸切バス】→中央道・双葉SA(休憩)→
         アップルランド デリシア波田駅前店(買い物)→上高地バスターミナル【徒歩】→
         JAC上高地山研(昼食)→上高地散策【梓川沿い・河童橋〜明神】→JAC上高地山岳研究所
         (水力発電設備見学・講座・夕食・交換会・宿泊)
         28日
         山研(朝食)→上高地バスターミナル【貸切バス】→乗鞍畳平→平湯温泉「ひらゆの森」
         (入浴)→道の駅「風穴の里」(車中昼食)→中央道・双葉SA(休憩)→立川駅北口(解散)
   参加者 33名(受講生21名、スタッフ12名)
    〔1班〕L 岡義雄、SL佐久間マサエ、石川由紀子、植草由利、小河今朝美、鹿島陽子、澤村雅人、
        竹内恭江、中原三佐代、酒井省二(講師)、小野勝昭(スタッフ)
    〔2班〕L西村智磨子、SL小松原勝久、市川 俊、齊藤 理恵子、清水 節美、土橋奈緒美、
        中島かよこ、花渕順子、原訓子、茂呂よしみ、竹中彰(スタッフ)、河野悠二(山行L)
    〔3班〕L武藤篤生、SL 辻橋明子、川尻久美子、富田実智代、西山さより、松本敦子、吉川三鈴、
        宮崎紘一(講師)、北原周子(スタッフ)



【1日目】  3期初級登山教室、宿泊をともなう初めての実習である。
 梅雨のさなか、前日までの天気予報でも好天は期待できなかったが、多摩信本店そばの公園に集合したときは雨もほぼ上がっていた。定刻にバスで出発し、途中の双葉SAにつくころには雲もだいぶ薄くなり沿線の山々も見え始める。上高地手前のスーパーで夕食と交換会の食材を手分けして購入する。新島々付近の車中ではスタッフが毎年行われる徳本峠越えウエストン祭の歴史を受講生に披露し、まもなく到着する上高地への思いは高まる。厚い雲に覆われやや雨交じりの上高地バスターミナルに到着、悪天のためか人もまばらな駐車場をぬけて梓川沿いの道を徒歩で山岳研究所に向かう。悪天のため穂高連峰は見えず雲の切れ目から見える岳沢の雪は例年より少ない。
 山研が見えてくると受講生の歓声が上がり、今春から勤めている新しい管理人の元川さんが迎えてくれる。男女別に割り当てられた部屋で荷を解いて食堂に集合、山研利用のガイダンスの後めいめい昼食をとる。雨具の準備を済ませ建物前に集合。夕食の準備を行う西村会員と辻橋会員を残し、北原会員を先頭に3班から順に河童橋方面に出発する。河童橋から新緑の明るい緑の中、梓川左岸を明神方面に進む。花のピークは終わりつつあるが、ラショウモンカズラ、サワギク、ゴゼンタチバナ、ニシキウツギなどが見られ、受講生は、北原会員が指すたびにシャッターを切り説明を熱心に聞いていた。あまり目にすることのないショウキランが数輪集まって咲いていたのは圧巻であった。折り返し点の明神館を過ぎ、広場前の強いにおいを発するカンボクの花を背に明神橋を渡り梓川右岸を滑りやすい木道を避けて山研に戻る。山研の裏手では進み発電中の水力発電設備を見学、元川さんに仕組みを説明していただく。食堂では宮崎講師の地図読みの講義が始まる。インターネットやPCを使った情報や地図の取得方法を学ぶ。映像資料も見ながらの説明に、受講生は熱心に質問を繰り返す。
 西村会員と辻橋会員を中心に受講生、スタッフが協力をして色とりどりの夕食がテーブルに並ぶ。おいしい料理と受講生からも提供されたお酒に舌鼓を打ち、会員の体験談やこれから行きたい山の話に話が弾む。協力をして後片付け、22時消灯、明日の晴天を祈り床につく。


山研食堂にて、宮崎講師による講義

水力発電設備を見学する受講生


 2日目、受講生たちの祈りも通じず明け方から弱い雨。6時から朝食、その後、協力をして後片付けと掃除。雨天に備えレインウェアの下を着用し、元川さんに見送られ山研を出発。河童橋をすぎ梓川左岸を進むと下流に鮮やかな虹が現れる。受講生たちは歓声を上げ熱心にカメラや携帯のシャッターを切る。
 乗鞍岳ではいっそうの悪天候が予想されたが、一途の願いを胸にしてバスに乗車し出発する。酒井講師が3000m級の山岳の天候と装備について説明、果たして乗鞍岳は講師の言うような厳しい環境なのか半信半疑ながら畳平に向かう。高度が上がると目に入る残雪も次第に増えガスもいっそう濃くなる。畳平に到着したが、強風のため乗鞍岳登山、畳平お花畑探索も断念。標高3000m付近の悪天候を体験するためにレインウェアを着用して全員バスの外に立ってみる。体感温度は0度に近い。帽子は飛ばされ、無雪期の装備では5分もしないうちに手や顔がかじかむ。
再度乗車し、麓の平湯温泉「ひらゆの森」に向かう。車窓からみえる雨にぬれた緑はまだ新しく鮮やかだ。硫黄臭の強い平湯の湯船でリラックス、出発までの空き時間には西村会員が高山の植生についての説明などを行う。
 道の駅「風穴の里」と双葉SAで途中休憩、昼食はめいめい車中で済ませる。双葉SAにつく頃には天候は回復、かんかん照りの30℃。数時間前の真冬の体験とのギャップを実感。あまり疲れていないせいか、車中では例年のように眠っている人は少なく、おしゃべりをしたり地図も見たり、車中から見える山々を同定して過ごす。行程が予定よりも早まったため、あまりひどい渋滞にも巻き込まれず順調に進み立川に到着、元気に解散。
 梅雨期間中であることもあり悪天候で予定していた乗鞍岳登山は果たせなかったが、森林限界以上の山の厳しい自然の一端を経験できたことは受講生にとって大きな収穫であったに違いない。いつも混雑している上高地で、ゆったりと散策できたことも貴重な体験である。山研への宿泊を通して深まったチーム力は今後の山行にも役だってゆくことだろう。
(記録 文/武藤篤生 写真/河野悠二、武藤篤生)



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