第1期初級登山教室 卒業登山実習「雲取山」


雲取山

   日程  2014年3月29-30日(土・日) 29日晴れ、30日雨・強風
   行程  3月29日(土)
         所畑バス停9:25〜10:00登山口〜11:50堂所(昼食)12:15〜13:15七ツ石小屋13:35〜
         14:20ブナ坂14:35〜15:15奥多摩小屋15:25〜16:50雲取山17:20〜18:20雲取山荘(泊)
         3月30日(日)
         雲取山荘6:40〜7:35雲取山7:45〜8:45奥多摩小屋8:50〜9:30ブナ坂9:35〜
         9:55七ツ石山10:05〜10:45七ツ石小屋(昼食)11:15〜12:10堂所12:15〜13:45登山口〜
         14:20鴨沢バス停
   参加者 30名(受講生16名、会員14名)
     〔1班〕L河野悠二、SL石井秀典、大橋勤、賀澤睦美、川路悦郎、鬼頭勝美、佐々木則行、
         清水茂美、高橋恵子、藤澤京子
     〔2班〕L長瀬秀史、SL北原周子、川崎真琴、小山幸勇、高崎一寿、富永真由美、仲谷朋尚、
         濱野弘基、本間俊幸、八木佳苗
     〔スタッフ〕竹中彰、西村智磨子、小山義雄、山本憲一、小野勝昭、武藤篤生、土井充
     〔特別参加〕関西支部長/重廣恒夫


 第1期初級登山教室最後の卒業登山は、東京都の最高峰である雲取山と決まっていたが、奥多摩地域の百数十年振りの大雪によって、当初予定の3月15・16日(土・日)が微妙な状況であった。2月中旬の大雪の影響は大きく、路線バスの運行停止や山間の集落の孤立化まで新聞などで報道されていた。雲取山荘に問合わせると、大雪以降半月ほど誰も上がってこず、小屋も一人の番人だけで、水もトイレも使えない状態だった。奥多摩ビジターセンターのホームページには、奥多摩全域に登山自粛の要請が出されていた。そんな中、3月6〜7日に山岳救助隊35名が登山訓練で鴨沢から雲取山荘まで入り、トレースをつけた情報を入手。七ツ石小屋分岐の先の橋が雪の重みで崩落しており、七ツ石山経由でブナ坂を通ったことを知る。鴨沢から小袖までの道路は土砂崩落で通行止めと悪い情報ばかりが入ってくる。その頃になって、漸くバスも全線開通の明るい情報が入ってきたので、3月15・16日実施の判断のため、3月10日(月)に現地の下見を岡、石井、北原、河野の4名で行った結果、登山自粛要請が出たままである、鴨沢から小袖まで車が入れない、ツボ足状態のトレースでは時間を要する、七ツ石小屋経由で時間がかかるなどから順延とした。当初予定の順延日である1週間後の3月21・22日では、この状況が大きく好転するとは思えず、順延日を模索し日程調整で悩んだ末、第2期初級登山教室の扇山を延期してもらい3月29・30日(土・日)で実施することになった。しかし、小袖に入るのは鴨沢から2つ先の所畑バス停から入る道路を使うことにしたが、5ヶ所の曲がり角がキツいことから、マイクロバスが入るところまでとした。
受講生・サポータともに日程変更により当初参加者から若干人数が減ったが、30名の参加となった。また、重廣関西支部長が登山教室の視察で特別参加された。残念であったのは、ここまで初級登山教室を総責任者として牽引してこられた酒井副支部長が参加できないことであった。


小袖登山口から入山

奥多摩湖畔で重廣関西支部長を迎えて


 3月29日(土)マイクロバス2台に分乗し立川を出発。奥多摩湖でトイレ休憩時、マイクロバスの運転手が道路情報を収集したが、所畑先への進入は難しいと言われた。所畑バス停で残念ではあるが全員下車し、神崎日山協会長運転の車で見送りを受けた酒井副支部長と別れた。準備体操などして小袖乗越までの急な道路を歩く。気温も高く汗が出る。小袖乗越先の日陰で服装調節や水分補給などをして登山口から入る。


七ツ石小屋から眺めた笠雲の富士山

雪のない快適な山道


 2回目の下見時から更に雪は少なくなっており、所々に雪が残る程度で、予定通り堂所で昼食をとる。堂所からは尾根の東側の登山道に雪が残っている所があったが問題なく通過し、七ツ石小屋分岐から七ツ石小屋に着く。トイレや水分補給などで大休止をとる。頂上に笠雲がかかった富士山も眺められる。 


小雲取山を登る

七ツ石小屋を過ぎると雪が出てくる



 七ツ石小屋上の水場は雪の段差を乗越し巻道に戻った。ブナ坂までの巻道は雪の斜面のトラバースルートになっていたが、下見時に気になった雪の状態も良くアイゼンの着用もなくブナ坂に到着。ここからの石尾根は、陽当りも比較的良く、一部雪のない所もあるが、凍結しておらず無雪期と同じ時間程で奥多摩小屋に着く。相変わらず富士山には笠雲がかかっている。


もう少しで山頂避難小屋

やっと山頂避難小屋が望める



 奥多摩小屋先の急な登りと小雲取の急な登りも順調に歩み雲取山避難小屋に到着。まだ展望が良く奥多摩三山も望まれた。雲取山頂上に全員集合し記念写真を撮る。ここから最後の北斜面の急な下りが待っており。頂上でアイゼンを着用する。2ヶ所フィックスを張り一人ずつ通過したこともあり、雲取山荘にはギリギリでヘッドランプを使用することなく、18時過ぎに到着しホットする。小屋の周辺にはまだ雪が多量にあり、外の水場、トイレは使用できない。


修了証書授与式

凍り付いた北斜面を雲取山荘に下る



 夕食後、最後の山行となる受講生との懇親を、下から担ぎ上げたワインで乾杯した。受講生に修了書、小屋からのプレゼント、日本山岳会・支部入会申込書を渡す。何人の方が入会されるか気になる。夜中に目が覚めた時、屋根に雨が当たる音がしていた。明日の天気は予報通り雨となりそうだ。


翌日は小雨の中を出発

宮崎講師の発生で乾杯



 3月30日(日)朝食後、雨具・アイゼンを着用し、昨日のフィックス部分の偵察に小野、小山、河野の3人先行する。凍った部分もアイゼンが良く効くので目印も兼ねてシュリンゲを2ヶ所垂らした。全員雲取山頂上に立ったが、雨は弱いものの風が強いので早々に避難小屋に移動した。石尾根を慎重に下る。奥多摩小屋手前の急な下りは、巻道を利用した。風も強いので、ブナ坂からは巻道のトラバースルートを通らず、七ツ石山経由に変更し、七ツ石山の急な斜面を登る。受講生には、おまけの登頂となるが雨で展望は全くない。縦走路から七ツ石小屋に下るところは、10m程の雪壁となっていたのでフィックスロープを固定し一人ずつ下りる。ここから小屋までは雪がない。小屋の外で小雨の中立って昼食をとる。アイゼンを外し、鴨沢までの長い下りをひたすら下る。雨もだんだん強くなってきた。休憩もそこそこにどんどん下る。登山口に下りてきてホットするが、鴨沢バス停まで後一踏ん張りである。ドロドロになった、登山靴や雨具などを水で洗いバスを待つ。定期バスと増発バスに分乗し奥多摩駅に着く頃には雨も上がっていた。解散後、一部の受講生を交えて小懇親会をした。 長い2年間でもあり、短い2年間でもあった。講師、サポータの皆様に支えられてここまでこれたことに紙面をお借りして感謝申し上げます。
(文/河野悠二  写真/飯島文夫・重廣恒夫)

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