第1期初級登山教室 登山実習「鷹ノ巣山(1736m)」


鷹ノ巣山

   日時  2013年7月27日(土)
   行程  JR奥多摩駅前バス停7:56=バス=8:31峰谷バス停8:55→9:10三沢集落→
         10:00奥集落→10:25浅間神社第一鳥居→(浅間尾根登山道)→12:25水場
         →12:30鷹ノ巣山避難小屋(昼食)13:05→13:30鷹ノ巣山山頂13:55→14:10
         石尾根・水根分岐→(水根沢林道)→16:05水根沢桟橋16:20→17:40奥多摩湖
         バス停18:00=バス=18:20JR奥多摩駅
   参加者 28名 (受講生16名、支部会員12名)
     〔1班〕L宮崎紘一、SL岡義雄、大橋勤、川路悦郎、鬼頭勝美、佐々木則行、清水茂美、
         仲谷朋尚、中村美奈子、高橋恵子
     〔2班〕L石井秀典、SL小松原勝久、小山幸勇、佐々木芳行、高崎一寿、富永真由美、
         新山晴美、濱野弘基、本間俊幸、八木佳苗
     スタッフ:竹中彰、山本憲一、長瀬秀史、小野勝昭、北原周子、東敦子、飯島文夫、竹次優子


 夏山登山の実習である。鷹ノ巣山(標高1736m)は、夏には大変蒸し暑い奥多摩山域にあり、かつ標高差が約1150mと大きく、夏山登山として手強い条件のある山である。そのため、受講生には事前に課題を出し十分な準備をもって参加して貰った。課題とは、暑さ対策の服装、飲料水量、および食料、ザック重量など夏山安全登山の必要事項である。これらは登山教室の「座学」で学習した内容であり、それを登山実習の中で実践し知識修得して貰いたいと考えた。
実施当日、JR青梅線奥多摩駅前のバス乗り場に集合し、路線バスの「峰谷行き」7時56分発に乗車する。終点「峰谷」に8時31分到着。バス停(標高590m)前の広場で登山準備に行う。今回も2班体制で行動することとし、班ミーティング、準備体操の後、8時55分に出発する。天候は、青空が見えて暑い夏山歩きが想定される一方で、大気が不安定なことで午後の雷雨を心配しながら歩き出す。


浅間神社の第一鳥居を抜ける

登山道に入ると急登となる


 峰谷川沿いの舗装道路を行き、三沢橋を渡ると「三沢」集落である。標識板に従い集落内の道路に入り、更に細い登山道を行く。道迷いのないように標識等を確認して歩くことを説明する。集落内の登山道は急坂で、気温の上昇もあって汗が流れだし苦しい登りとなる。三沢集落を抜けて更に登山道を10分程登ると広い舗装道路に合流する。この辺が「奥」集落の中心部で段々畑のような土地に住宅と畑が点在する。隣接の「峰」集落とともに東京で最も標高が高い山岳集落である。舗装道路を約10分歩くと「鷹ノ巣山登山道入口」に着く。入口階段は土砂が埋まり通行できず、先の登山道から登る。約15分歩くと浅間神社の第一鳥居(標高1030m)に到着する。とにかく暑い集落内道路の登りであったが、全員元気に歩き抜く。


山頂へ向かう1班

鷹ノ巣避難小屋にて昼食


 浅間神社から浅間尾根の登りが始まる。水分等を十分補給して10時30分に出発。浅間尾根は樹林帯の中の登山道で、前半の約1時間が急坂である。太陽の直射はないが風がなく蒸し暑い中の急登は体力を消耗し、登るにつれて歩行が遅れる者が出てくる。標高約1400mを超えると傾斜が緩くなり、アップダウンを繰り返し登って行くと、西側の樹林の間から日陰名栗山が見えて鷹ノ巣山避難小屋が近いことが分かる。12時25分「水場」に到着。受講生は飲料水の必要量を持参して来たようで、水補給する者は僅かである。水場からすぐ先の鷹ノ巣山避難小屋に12時30分到着する。早速、避難小屋前のテーブル等で昼食をとる。避難小屋(標高1570m)周辺は、何時の間にか霧が覆いはじめて天候の崩れを心配する。


山頂にて地図読み

山頂へ向かう2班


 進行が遅れているため昼食時間を短縮し、13時05分避難小屋を出発。鷹ノ巣山山頂に向かって石尾根の急坂を登る。途中の石尾根北側の樹林の間から雲取山、芋の木ドッケなどの山が眺望される。13時30分鷹ノ巣山(標高1736m)に到着する。山頂は濃い霧に覆われ、周辺は真っ白で展望が全くない。実習では、山頂の展望を利用し山座同定を行いながら周辺の山岳地理を勉強する予定であったが、実施不能である。山頂においては、登山地図を利用して鷹ノ巣山登山ルート等の説明、集合写真の撮影などを行い、13時55分下山を開始する。


水根沢を下る

霧のため山座同定はできず


 下山ルートは、水根沢林道を経由し奥多摩湖バス停まで、約3時間半の長い歩きである。石尾根を南東方面に下り、道標に従い水根方面に向かって歩く。倉戸山への分岐を過ぎると水根沢へ下る登山道の傾斜が強くなり、約1時間の歩きで作業小屋のある平坦地に着き休憩をとる。その後の水根沢林道は、山腹の道であるので山側、沢側とも急斜面で休憩場所が見つからず、一気に「桟橋」まで歩く。桟橋には16時05分到着。桟橋は、水根沢を左岸に渡る丸木橋で横板が張られているが、通行に恐怖を感じる者もいる。急遽、ストックを利用した桟橋歩行の実技講習を行う。奥多摩湖に向かって水根沢林道の歩きが続くが、途中で雷が鳴り雨も降り出してきたので雨具を着用する。幸いにも雷雨は短時間で止んでくれた。平坦になった水根沢林道を暫らく行くと水根集落が見えて長い林道歩きが終了する。水根集落を経由し奥多摩湖バス停(標高540m)に17時40分到着する。バス停前広場で全員ミーティングを実施し、実習を終了する。18時00分臨時バスに乗車し、JR奥多摩駅前18時20分に到着し、解散する。

 今回の実習は、ルートが長丁場等のこともあり、特に受講生の体力等を確認しつつ歩いた。山行時間に若干の遅れが出たが、結果的には全員が元気に踏破し、体力的にも一段と頼もしさが感じられた。また、夏山登山の課題事項も理解し十分な準備を行ってきたことも踏破できた要因と考える。しかし、安全登山実施の面では、危険個所の歩行等において座学での学習が徹底されない部分があり、今後の課題としたい。この実習の経験をもって更に登山を安全に楽しんで貰いたいと願っている。
(記録:石井秀典 写真:飯島文夫)

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