若い人向け初心者登山教室登山実習「三頭山」


陣馬山

   日時  2013年4月20日(土)
   行程  立川駅北口7:25(貸切バス)〜9:10都民の森駐車場9:20〜9:50三頭大滝11:00〜
         11:15避難小屋11:45〜12:10三頭山西峰12:25〜12:15避難小屋12:25〜
         12:50三頭大滝13:00〜14:00森林館14:30〜14:40駐車場14:50〜16:20立川
   参加者 41名 (受講生24名、立川市1名、支部会員16名)
          (L:リーダー、SL:サブリーダー)
     〔1班〕L長瀬秀史、SL西村智磨子、馬場一嘉、馬場佳奈子、越智ナナエ、山本佳織、高橋義教、
         中村敦子、野崎浩史、服部 渉 
     〔2班〕L小野勝昭、SL北原周子、布川孝三、布川明美、古池啓子、江原孝、野津幸代、
         小川和美、小川晴美、中村麻耶、田中謙次 
     〔3班〕L小山義雄、SL大船武彦、吉村由美子、大和 薫、浜崎麻由美、前田菜穂子、碓井幸恵、
         中村照代、北林義樹、宮沢輝夫
     講師:酒井省二、宮崎紘一
     スタッフ:竹中彰、河野悠二、石井秀典、小松原勝久、澤登均、飯島文夫、山本憲一、竹次優子


 昨年に続く第2期「初心者登山教室」の登山実習が三頭山で開催された。前日から日本列島は広い範囲で冬のような寒さに襲われ、高層天気図を見ると日本上空850hp(1500m)は0℃と予測されていた。ちょうど三頭山の標高だ。宮崎講師からも寒さを懸念する連絡が入った。そこで、急遽、立川市の田中氏から受講生の皆さんに保温についての注意事項を連絡していただいたほどだ。初心者登山教室は、よくよく天候に恵まれない。変なジンクスにならなければと空を仰ぐ。
今年の登山教室は「若い人向け」というフレーズを加えて募集した。そのせいもあってか、受講生27名の平均年齢は約41歳。最年少は25歳とグンと若返った。集合場所に集まった受講生が生き生きと見えるのは気のせいではないようだ。
残念ながら不参加の1名を除いた受講生26名とスタッフ15名を乗せた貸し切りバスは、またしても曇天の立川市を出発した。しかし、空は意外と高く、車中から大岳山、馬頭刈尾根、御岳山、戸倉三山あたりなどが遠望され、期待を抱かせる。前回、講座を行った酒井講師がマイクを取って若干の「復習」を語り、次回講座予定の宮崎講師が地図読みの簡単な「予習」を行った。
数馬あたりでは日が差し、青空も見え始めた。奥多摩周遊道路に入って高度を上げると気持ちよく長い稜線を描く笹尾根を始め、三頭山まで眺められた。天気予報ははずれたかと思わせられるが、今日はこれで騙されてはいけない。


モミジイチゴ

準備体操もまだバラバラ


 都民の森駐車場で準備体操を行い、各班に分かれてそれぞれリーダー、サブリーダーから注意事項が伝えられる。初登山という受講生が多いせいか、各班でザックの調整、靴紐の締め方などのレクチャーが行われている。ほぼ予定通りに1班から出発。ここから三頭山頂までは約500mの登りだ。まずはウッドチップが敷かれた遊歩道を、あれはエイザンスミレ、これはキブシ、こっちはネコノメソウなどと、草花に詳しい会員が指さしながら歩く。 三頭大橋で大休止。見えていた青空も「やっぱり」という感じで曇ってしまっていた。各班で自己紹介を済ませ、ここから先の三頭沢沿いをオーダーを組んで進む。低いところではブナが花を咲かせ、若葉が芽生えているが、コナラ、ミズナラ、カツラ、メグスリノキ、シオジ、サワグルミなど、都民の森の多くの木々はまだまだ冬ごもりのようだ。小休止、立ち休みを挟み、ムシカリ峠に着いて集合写真を撮り、すぐに三頭山避難小屋に上がって昼食。ガスが立ちこめ、何も見えない。しかも寒いのだ。それでも、受講生の皆さんは明るい。打ち解け合って会話に花を咲かせる人たちも多い。


山頂へ

避難小屋で昼食


 昼食後、いよいよ山頂へ向かう。下ってくる登山者が、しきりに寒い寒いと言っている。ガスは濃くなって、ブナの木々が寒々と立っている。それにしても、こんな天気なのに、なんとたくさんの人がいるのだろう。三頭山は人気者なのだ。12時過ぎに到着した目的地の西峰(1524.5m)では2班が待っていた。しばらく山頂を占拠して30名ほどで記念撮影。失礼しました。
山名標柱の前にあるのが三角点だと思っている人が多いが、これは「宮標石(みやひょうせき)」。ここから先が宮内庁の所有地という印だった。三頭山は明治時代、皇室財産の山だった。1939(昭和14)年に東京都に払い下げられ、都民の森は1990(平成2)年にオープンした。「宮標石」は皇室財産の名残というわけだ。三頭山の三角点は、最高点の中央峰(1531m)ではなく東峰(1527.5m)にある。



ブナの花

山頂にて 2班と3班


 山頂から下り、ムシカリ峠を通り過ぎて三頭山避難小屋に上がって小休止。西から吹き上げる風はいっそう冷たくなった。その風に乗って、もっと冷たい物が頬に触れる。雪よりも細かい氷の粒、アラレだ。寒いわけだ。受講生の皆さんも「ヒャア」などと言って喜んでいる。季節外れといってもいい天候の中、往路と同じ道を下る。アラレに雨が混じって、道の脇の下草をパサパサと叩いている。それでも、下るたびに気温が上がっていることが実感できる。やっぱり春なのだ。三頭大滝の手前で細かい雨になったが傘を差すまでもない。足もとが濡れるのでスリップ注意を呼びかける。帰りには世間話をするまでになごみながら森林館へ到着。小休止後、バスに乗り込むと、ホッとひと息ついた顔がずらりと並んでいた。点呼を取って出発したバスのワイパーは止まらない。雨は本降りになった。春とはいえ、山の天気は気まぐれで厳しいことを、受講生の皆さんが感じてくれたらうれしい。
(記録/小山義雄  写真/飯島文夫)

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