第4回初心者登山教室 登山実習「三頭山」


三頭山山頂

   日時  2012年8月4日(土)
   行程  立川駅北口7:25(貸切バス)〜8:55都民の森駐車場9:20〜10:10大滝10:35〜
         11:45避難小屋12:20〜12:40三頭山西峰13:00〜13:15避難小屋13:30〜
         14:30大滝14:40〜15:00森林館15:20〜15:30駐車場15:50〜17:40立川
   参加者 46名(受講生26名、立川市2名、支部会員18名)
          (L:リーダー、SL:サブリーダー)
     [A班] L長瀬秀史、SL石井秀典、大澤哲夫、中釜義之、中村恭之、藤沢京子、本間俊幸、
          水堀順子、八木佳苗
     [B班] L小川武、SL岡田陽子、大塩良一、大橋勤、川崎真琴、小山幸勇、高崎一寿、
          野口正江、山本玲子、新山晴美
     [C班] L大関保、SL大船武彦、佐々木則行、佐々木芳行、富永真由美、中村美奈子、
          濱野弘基、馬淵恵美、阿部公亮
     [D班] L河野悠二、SL小山義雄、賀沢睦美、片桐努、川路悦郎、鬼頭勝美、清水茂美、
          高橋恵子、宮原順一、田中謙次
     [講師] 宮崎紘一、城所邦夫、竹中彰、酒井省二
     [スタッフ] 小野勝昭、小松原勝久、浦邉充、澤登均、高橋重之、山本憲一


 2回目の実習登山は8月4日、三頭山で行った。夏の真っ盛りだ。日本列島に最高気温が35℃を超えて猛暑日となる地点がぐんぐん広がっていた。しかし、標高1,000〜1,500mのコースは、山の冷気につつまれていた。みんな元気に歩いた。
前回と同じように立川駅の北、多摩信用金庫前に07:00集合し07:25出発。08:55には都民の森駐車場に到着、準備体操などを経て登山開始した。バスのなかで、さきの講座で教わった「地図の読み方」と「山の天気」を宮崎紘一、城所邦夫両講師からおさらいしていただいた。


地図読みの実践

準備を整え出発


「左に曲がって、こんどは右に曲がる。あと真っすぐ行くと大滝のうえに出るはず」と、先を歩いていた女性が言った。実際にその通りだった。「すごい」と、女性は嬉しそうだった。「地図の読み方」は実習登山にも取り入れられた。実地で体験するほうが分かりやすい。教室で用意した1/25000の地形図にコンパスを添えた。磁北線にコンパスの縁を合わせる。磁針が平行になるように地図を動かす。南北が逆になっていたら地図を引っくり返す。――と、歩いている登山道と地図上のコースがぴったり一致して目前に広がってくる。先々の様子が読めてくるのだ。


整備された山道を行く

タマガワホトトギス


 大滝は落差33m。夏の雨を集めて水量は豊富。風向きによって展望橋まで飛沫が飛んでくる。大滝からは、沢沿いの登りとなった。今度は等高線が気になる様子だった。曲線の向きで尾根と沢を区別する。地図読みが慣れてくると、それが山登りの楽しみとなる。途中、右手に三頭山の東の尾根から下りてくる登山道との分岐があり、テラスがあった。50分ほどで稜線に出た。標識にムシカリ峠とあった。避難小屋に移動し昼食を頂いた。周囲にムシカリの樹が多い。別名オオカメノキ。葉っぱが亀の甲羅に似ているとか、よく虫に食われるとか。
 見上げると、ブナの樹がたくさんの実をつけていた。側脈の数でブナとイヌブナと容易に区別できる。学名はブナがfagus crenata、イヌブナはfagus japonica。もう少し経てば殻斗が割れ蕎麦粒のような形をした堅果が飛び出してくるはずだ。地面には去年の殻が散乱して落ちていた。小さな実だが、すこぶるおいしい。野生動物の大好物だ。ことしは大豊作という話を聞いた。このぶんだと、熊が餌を求めて里山まで下りくることはないかも知れない。


B班登頂記念

A班登頂記念



D班登頂記念

C班登頂記念


 12:40、昼食を終えて三頭山に向かった。わずか100mほどの登りだが、木段が延々と続いていて、食事のあとだけにこたえる。頂上に小さなスペースがあり、中央に三角点が設置されていた。標高は1,527.5m。しかし、最高点はこの三角点の設置されている地点と少し離れたところにあり、地形図に1521mと記されている。三角点は、いちばん高いところにあるのはかぎらない。三角点があるのは東峰、最高地点は中央峰という。
記念写真を撮り、再びムシカリ峠を経て来た道を引き返す。下りも大滝までほぼ1時間。ゆつくり下った。カメバヒキオコシがコースを覆うようにはびこっていた。葉っぱの先が3つに割れ、中央の裂片が亀のしっぽのように長く伸びている。シソ科の植物で学名はplectranthus kamebaという。空海大師が山地を歩いていると、修験者が倒れていた。それを見た空海は、そばに生えていた、ヒキオコシの葉のしぼり汁を修験者の口に含ませた。たちまち元気になり、また修行に向かったという。



ギンバイソウ

三頭山避難小屋にて休憩


 沢沿いには、カエデの樹が多い。イロハモミジ、オオモミジ、ハウチワカエデ、ウリハダカエデ、チドリノキ・・・。それらの樹々を写真つきで紹介してある標識もあって、紅葉のシーズンに歩きたくなってしまう。14;30、大滝まで下った。再びウッドチップを敷き詰めた水平道を歩き、森林館まで帰った。 幸い、雨に遭うことはなかった。朝のうち、積乱雲が高く昇るのをみた。黒雲も広がり雷雨を覚悟したが、城所講師は「だいじょうぶでしょう」と言った。その通りとなった。「山の天気」について、講義を続けほしいと思った。15:50駐車場発、17:40立川着。 (記録/橋重之)

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