2011年5月28日 東京多摩支部平成23年度通常総会開催


総会集合写真

51人が出席し、事業計画・予算案など承認
日本山岳会東京多摩支部は5月28日、多摩市のパルテノン多摩で平成23年度通常総会・懇親会を開いた。台風2号の影響を受け、あいにくの空模様となったが、会員数227人のうち委任状とあわせ168人(当日出席51人、委任状117人)の出席者を得て総会は成立し、22年度事業報告・収支決算案、23年度事業計画・予算案などを承認した。去年2月に発足して以来、分境嶺踏査や全国支部懇談会の開催など、かずかずのイベントを実行し、よく頑張ったと思う。活発な意見・提案があり、東京多摩支部のさらなる飛躍を誓った。

竹中支部長挨拶/それなりの成果を収めたと思う
会議は、富澤克禮総務委員長の司会で進めた。会議に先立ち、東日本大震災に遭遇された犠牲者のご冥福を祈って黙祷を捧げた。冒頭、竹中彰支部長が挨拶し、「東京多摩支部は、皆様に支えられ活動してきた。それなりの成果を収めたと思う。本年度の活動としては、“支部の基礎固めと外に向かっての広がり”に焦点を当てたい。未加入会員の支部入会促進、支部組織の若返り、さらには登山愛好家・JAC理解者の裾野拡大に注力していきたい。一般向けの山に関する研修会を天気、地図、医療、トレッキング――などとシリーズ化して開催、また安全対策委員会を立ち上げる。分境嶺に代わる新しいプロジェクトの検討を進める」などと次なる飛躍への意欲を語った。

分境嶺踏査は5回、延べ250人参加
支部規約によって議長は支部長が務める。議案は、事業報告・事業計画・予算案については山本憲一事務局長、収支決算は議長が説明した。
〔22年度事業報告〕 支部創立記念として始めた分境嶺踏査事業は5回実施し延べ250人が参加した。うち支部会員は137人、一般参加者は113人だった。定例山行は赤城山、御前山など9回実施し延べ120人が参加した。自然観察は御岳山レンゲショウマなど3回実施し延べ49人参加。サテライト・サロンは吉祥寺、立川、日野・八王子などで19回開催し延べ319人参加した。 「たま通信」は号外を含め4回発行。メールマガジンは月5〜6回、アドレスを登録している120人の会員に送信している。 〔22年度収支決算報告〕 22年2月に設立後、3月までの会計処理も合わせて説明し、この期間は設立までの先行支出で62,882円の赤字だった、と報告。22年4月〜23年3月は、支部会費452,000円、支部助成金292,500円を中心に年始晩餐会会費を含め収入は1,545,456円、支出は「たま通信」の発行など広報活動費133,674円、会員名簿など資料費22,890円など。備品費102,286円は支部旗、山行用救急医薬品、拡声器など。年始晩餐会費を含め支出は1,047,562円で収支差額は497,894円となり、準備期間の赤字を償却し435,012円を次期に繰り越した。うち全国支部懇談会残金127,473円は安全対策費として積み立てる。

9月3〜4日に雲取山で山梨・埼玉支部と交流
〔23年度事業計画〕 定例山行は日光白根山、朝日連峰、高川山など6回。分境嶺踏査は4回実施し奥多摩湖までつなぐ。自然観察は三ツ峠アツモリソウ、里山、ムササビ観察など。9月3〜4日に雲取山で山梨・埼玉支部と交流登山を実施する。一般対象の講演会は下期に2回予定。支部活性化プロジェクトを立ち上げ、若年層の掘り起こしをテーマに活動プランを研究、実行策をまとめる。
〔23年度予算〕 支部会員を225人とし会費収入を450,000円と見込む。終身会員など日本山岳会の会費を徴収されない会員がいるので本部からの支部助成金は195人292,500円にとどまる。総務委は会員増強活動に36,000円、会員名簿作成30,000円、封筒など備品購入35,700円など。広報委は「たま通信」発行に207,400円など。配布部数増などで大幅増となる。集会委は講演会開催に60,000円など。予備費として100,000円計上した。収入・支出はともに742,500円とした。山本事務局長は、この23年度予算案の説明を前に「予算案の編成は、昨年11月の幹事会で各委員会に対して要請した。山行委・自然保護委からは事業計画のみで予算請求はなく、以降も請求はなかった」と発言した。

修正動議受け、山行委経費を計上
22年度収支決算案に対し森武昭会計監事から、これを妥当とする監査報告があった。説明のあと、質疑・意見が相次ぎ、予算案に対しては山行委から修正動議が提案された。島田成正委員長は「山行委の経費を23年度予算にぜひ計上していただきたい。予算請求しなかったが、医薬品、通信費など計45,000円必要だ」と発言した。竹中議長は提案の趣旨を妥当として出席者に諮ったところ大きな拍手があった。予算案を修正し、予備費100,000円から45,000円を山行経費に回すこととした。

質疑応答
計画にない活動も積極的にサ-ポート
(質疑等は、議案ごとに受け付けたが、この「総会報告」では、一括して掲載した)
神崎忠男会員(JAC副会長) 意欲的な計画が盛り込まれ結構だと思うが、これらの計画以外の活動計画が持ち上がった場合、どうすればいいのか。
山本事務局長 とくに決まりはない。できるだけサポートしていきたい。
長尾武彦会員 スケッチの会をつくろうと提案している。5月21日、第1回の会合を開催しようと思って武蔵五日市駅で待ったが、参加したのは、たったひとりだった。非常に残念だった。現在は、4人から入りたいと言っていただいている。事務局からは同好会として立ち上げてほしいと言われているが、しばらく地道に活動していきたいと考えている。ホームページなどで活動内容を報告していきたい。
筧邦夫会員 小学生を引率して高尾山に登ったとあるが、国立市の小学校とどのような関係があったのか。組織的にできないものか。指針をいただければ参加したい。
橋重之・広報委員長 国立市に住んでいて市立第四小学校の育成会のお手伝いをしている。登山できる指導者がいなくて困っていたので、東京多摩支部にお願いした。“公益的活動”を身近なところから始めたいと思った。これだけでなく組織的に広げていきたい。ご協力をお願いしたい。
サテライト・サロンに対する助成を・・・
長尾会員 サテライト・サロンに対する予算措置がない。サテライト・サロンは支部の目玉だ。開催を通知する通信費がいるのではないか。ホームページや支部報で知らせるだけでは不十分だと思う。
竹中支部長 通信費は参加費でまかなっているようだが・・・。
小清水敏昌幹事(吉祥寺/世話人)吉祥寺では出席者から200円集めてやっている。支部から頂くのはありがたいが、まだ早いかな、とも思う。
神崎会員 千葉支部でも松戸など3カ所でサテライト・サロンをつくった。委員会などで話し合っていけばいいが、いままで通りでいいかな、と思う。しばらく独立採算でやっていけばいいのでは。
副島一義会員(吉祥寺/世話人) 会場費が無料だからやっていけている。集めた資金は資料代・通信費に利用している。できれば演者に講演料をお支払いしたいが、そこまではできない。
鈴木謙治会員 事業計画と対応する形で予算案をつくってほしい。山行計画は予算の裏づけがない。委員長立ち会いのもとで予算をつくるべきだ。

幹事など異動人事を承認
それぞれの質疑応答のあと、事業計画は提案どおり、予算案は一部修正のうえ可決承認された。第5号議案/新役員の選出は、小川武幹事長が説明した。金中利和副支部長、副島一義幹事、森武昭会計監事、浦邊充評議員らが辞任された。別の職務での活動をお願いしたところ、引き受けていただいたかたもいらっしゃって、次のような異動となった。
  [承認された役員異動]
  新任  幹事 浦邊 充、富澤克禮
       評議員 林 榮二、三渡忠臣
       会計幹事 田上和儀
  辞任  副支部長 金中利和
       会計幹事 森 武昭

東日本大震災に義援金を拠出
最後に、竹中議長は東日本大震災への義援金を東京多摩支部から拠出することを提案した。日本山岳会を通じて、被災地の復興に役立てていただく。予備費から30,000円を支出することにした。予備費は結局、25,000円となった。この日、会場には玉田眞一会員が被災地で撮影した写真を掲示するとともに義援金の募金箱を置いた。10,000円が集まった。合わせて40,000円を募金する。

総会通知に54人が“返事なし” 山岳会にマナー、モラルを取り戻したい
総会終了後、神崎JAC副会長が発言を求めた。「東京多摩支部の総会通知に対して返信がないのはどのくらいあったか」と質問した。富澤総務委員長は「54人が返事なし。なしのつぶてだった」と答えた。神崎「マナーを持ってのクラブではないか。モラルを取り戻したい。東京多摩支部が日本山岳会のモデルになってほしい」、富澤「年始晩餐会のときもそうだった。個人的に対応していくしか手がない」――。
成川隆顕常務理事は「返事なしがこのように多いと、出席と委任状をあわせて4分の3に届かなかったかもしれない。このような状況だと6月の日本山岳会総会で、定款変更に必要な4分の3の賛成は得られない」と危惧を表明。宮崎紘一副会長は「6月18日の総会にはぜひ出席してほしい。できないのなら委任状を提出してほしい」と要請した。この日、東京多摩支部の会員にも日本山岳会総会の開催通知が届き始めていた。総会開催を控え緊張した一幕であった。

懇親会には45人が参加、和やかに歓談
懇親会は、近くの「K’sグリル」で午後4時30分から催した。竹中支部長は「東京多摩支部を立ち上げて、ほんとうによかった。“支部の基礎固めと外に向かっての広がり”を実現すべく、成果を出していきたい」と挨拶。会は、出席されたなかで最長老の田邊壽会員の音頭で乾杯し、和やかに賑やかに盛り上がった。45人参加。
(写真/澤登 均、文/橋重之)