2016年三ツ峠・アツモリソウ保護活動 ・・・・・・ 自然保護委員会


アツモリソウ

 日程: 2016年6月22日(水)〜23日(木)
 行先: 三ツ峠周辺〈三ツ峠山荘宿泊〉
 コース: 6月22日
        9:40河口湖バス停発〜10時ごろ三ツ峠登山口〜11:45三ツ峠山荘(昼食)〜13:00
        〜16:30アツモリソウ観察とテンニンソウやササなどの除草〜 18:30夕食、懇親会、
        三ツ峠山荘泊
        6月23日
        6:00カモメラン群落などを観察〜7:30朝食〜9:30三ツ峠山荘発三ツ峠登山口へ下山
        (うち3人は三ツ峠駅に下山)
 参加者
  河野悠二、岡義雄、岡田陽子、笠原功、遠藤興志郎、加藤信夫、高橋恵子、中村哲也、下田俊幸、
  水谷弘治、東敦子、石塚嘉一 12名

 今年で6年目の三ツ峠のアツモリソウ保護活動である。河口湖バス停から三ツ峠登山口へ。自然保護委員会らしく、車をやめて、公共交通機関を使っての山行である。レインウエアを必要としないほどの梅雨の小雨の中、登山口から緩やかな登山道を上る。ヤマガラの類やホトトギスなど多くの鳥のさえずる中を、ヤグルマソウなどを山道の両脇に見ながら2時間足らずで、三ツ峠山荘の前に出た。山荘前のテーブルで、みんなで昼食をとった。
 午後も雨が予想されるので予定より早く、1時過ぎから保護活動を開始した。アツモリソウの保護活動を親子二代でしている三ツ峠山荘の主人中村光吉氏の案内で、シカによる食害(そして人間による盗掘)からアツモリソウを保護する防鹿柵の中に入って、アツモリソウが見事な薄紅色の花を咲かせている様子を観察する。かつては三ツ峠のいたるところに群生していたアツモリソウが盗掘のため20年ほど前には250株ほどに減ってしまっていたのが、盗掘防止のための監視パトロールや県の保護条例の制定への働きかけ、近年のニホンジカの食害からの保護柵設置の活動、アツモリソウ生育区域の整備などによって徐々に回復し、現在は500株ほどまでに戻りつつあるという。




 保護区域の中でさらにケージのような保護枠に囲まれた中で大きな花を今盛りと咲かせているアツモリソウの前で、中村氏は、テンニンソウやササ、ヤマドリゼンマイなどを除去して、株の上を覆っていた落葉松の下枝を払って陽が入るようにしたら、アツモリソウの株の成長が進んだこと、毎日のように中村氏と保護活動の人たちが見にきて、きれいだと褒めて写真を撮るから、花もそれに応えてますますきれいに育つことなどを説明。中村氏のアツモリソウへの熱い思いが見えた。
 鹿の食害から守られて斜面に広がるオオバギボウシにまじってあちこちに咲いているアツモリソウや、シロバナアツモリソウの生息地にも案内された。途中、道のない急な斜面に、オノエラン数株ひっそりと白い花をつけているのを観察。中村氏によると、今年ほどきれいな大きな花を咲かせたオノエランは見たことないということだった。
 1時間ほどアツモリソウが保護され、こどもの株が育っている様子などを観察したあと、別の保護区域の中に入って、各自鎌を手に、他の植物の生育を妨げるアレロパシーを出すテンニンソウやササの除草作業を、時々降る小雨の中、休憩も入れて2時間ほど行った。オーレンなど他の植物を抜かないように、注意しながら、強い地下茎でつながっているテンニンソウは1本1本でなく、できるだけ根こそぎ除去する。これで多様な植物が生育するのを助けることになればよいのだが。河野委員長が今回のために「自然保護活動中」と書いた大きなのぼりを作ってきて、それを活動場所に立てての除草作業であった。




 夜は食事のあと、中村氏を囲んでアツモリソウの話題を中心に懇談、話が弾んだ。「自然保護は山の上だけでできない」、里山で人々がしていること、地上で人々が地球上の生態系に何をしているかが大事だという言葉が深く印象的だった。
 翌朝は雨のため遠出をやめて三ツ峠山頂周辺のカモメラン群落などを観察。可憐なカモメランの花があちこちに見られ、白花のカモメランは少し盛りを過ぎていたが、まだ十分に群生しているのが観察できた。山荘に戻る山道で、カモシカの仔が一行の目の前まで近づいてきて、しばらくこちらをじっと観察して静かに山の中に入っていった。
 朝食後は、雨のため、予定した木無山・母の白滝経由での下山を中止して、往路を三ツ峠登山口に下山した。うち3名は達磨石に下山。
(文:石塚嘉一  写真:河野悠二、石塚嘉一)



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