三ツ峠アツモリソウ保護活動を終えて     (自然保護委員会)



日程: 2014年6月26日(木)〜27日(金)
行先: 三ツ峠
参加者: 飯島文夫、岡義雄、岡田陽子、河野悠二、西村智磨子、八木五郎 以上6名

 6月26日(木)〜27日(金)、前年度に引き続き三ッ峠アツモリソウの保護活動を実施した。三ッ峠山荘のご主人、中村氏の長年に渡る地道な保護活動と環境省、山梨県等の支援を受けた結果、盗掘等で減少したアツモリソウは300株まで復活した。また、開花までに10年を要するとのことだが現在200株ほどの子株も成長している。今回は、アツモリソウを取り囲む繁殖力の強い地下茎のテンニンソウの除去作業を行った。
 梅雨空のなか、富士山を横目2台の車に分乗し三ッ峠登山口に向かう。山頂付近はすっぽりとガスに覆われており幻想的な雰囲気であった。
 中村氏の説明によると「御坂山塊にあって、山頂から急激に切れ落ちる地形の三ッ峠山は、自然環境の変化と厳しさをもつ特異の山域のため、アツモリソウ等、ほかでは見られない植物が群生している」とのことであった。確りと柵で囲った保護区域に入り、カマを片手にテンニンソウの茎と格闘すること2時間で除草作業を終えた。淡いピンクのアツモリソウは複雑な花弁を持ちながらも可憐であった。中村氏に感謝。




 作業終了後、氏の案内でキバナノアツモリソウ、急峻な尾根上に咲くオノエラン(尾上蘭)、オオバノトンボソウ等のラン科の植物を観察した。
 平日とあって宿泊客は我々だけであった。食後、勉強会では冷蔵保管のアツモリソウの花弁による詳細説明や、自然界の進化の神秘性、生物の多様性と相互作用、そして氏の宇宙観まで幅広い貴重な講義を受けた。
 翌朝、山頂直下に群生するカモメランの観察を行った。小さな花だがたくましく群生しており、近年増加の傾向にあるらしい。山頂はガスに包まれていたが一瞬雲が切れ、残雪の富士が雄姿を現した。「されど富士」であった。絶え間なくガスが湧いては切れる中、突然雲間に虹のブロッケンが現れた。千歳一隅に全員大喜び。感動の一瞬であった。
帰路、山梨県立環境科学研究所を見学し富士山の生い立ちと歴史を学ぶ。昼食の吉田うどん(肉テンうどん550円)を思い出に保護活動を終えた。
(文/写真 八木五郎)

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