アツモリソウ保護活動体験 ・・・・・・ 自然保護委員会


三つ峠

日程: 2012年6月14日(木)〜15日(金)
行先: 三つ峠
コース: 6月14日(木)車3台中央道談合坂9時集合〜三ツ峠登山口林道駐車場10:20〜12:00
       三ツ峠山荘(昼食)12:50〜(アツモリソウ観察及び除草作業)〜15:10三ツ峠山荘(泊)
       6月15日(金)三ツ峠山荘8:00〜8:55駐車場9:20=10:15ミュージアム都留(視察12:10)
       =(昼食後現地解散)
参加者: 宇野良夫、岡義雄、岡田陽子、加藤信夫、柄澤洋城、城所邦夫、澤登均、西村智磨子、
        西谷可江、西谷隆亘、松本好正、河野悠二 以上12名

――繁殖力が強いクマイチゴを除去――
昨年と同じようにアツモリソウの花の時期に合わせて実施した。梅雨の最中ではあったが、2日間ともよい天気に恵まれ、山荘からは、まだ雪のかかった富士山、また朝は雲海にうもれる山々を眺めることができた。作業は気持ちのよい汗をかいての活動となった。
参加者12名は、車3台に分乗し、それぞれ9:00に三ツ峠登山口駐車場に集合。新緑の山道を山荘めざし出発した。樹々からエゾハルゼミの大合唱に迎えられ、山道でカザグルマの大きな葉っぱ、ちょっと珍しいヒロバテンナンショウ、その脇からハナイカダの花、ユキザサの可憐な白い花と出合う。地味な花のウスバサイシン、見過ごしてしまいそうなムヨウラン、ノビネチドリなどと楽しい。山草好きなものにとっては、あっという間の2時間あまりで三ツ峠山荘に着いた。
山荘のご主人/中村さんから日本茶で迎えられ各自昼食、身支度を整え、作業活動にはいる。防護柵に守られた作業道に案内していただいた。柵のなかへはいり踏み跡を辿りながら作業地に向かう。ヒノキに囲まれた日当たりのいい屋根の南西斜面だった。絶滅危惧種/アツモリソウが、元気にうつむきかげんに出迎えてくれた。周りにはギボウシ、テンニンソウ、バイケソウなどが競うように葉を広げていた。
昨年はシカが好むテンニンソウの刈り取りだったようだが、ことしは地下径の繁殖力が強く、トゲのいっぱいあるクマイチゴの除去。布が配られ手にあてがい根こそぎ抜き取る作業だった。用意していただいた冷たい高原の水で喉を潤しながら、日の当たる斜面で無駄口もなく懸命に抜き取った。 夕食をはさみ中村さんから絶滅危惧種の保護・防止策、また観察してこられた沖縄のラン科植物の現況をスライド交えて話していだいた。自然の広大無限なことを感じた。30年取り組んでこられた保護・植生に多くの人の協力の輪が広がり毎年、徐々にではあるが、増えてきたと感謝されていた。初めて作業に参加して「山に咲く花は山で出合うから美しい」という言葉を伝えていきたいと思った。
(文/加藤信夫)




――翌日は都留市の小水力市民発電所を視察――
日の出を見る人など三々五々、山頂に向かう。頂上からのご来光と雲が薄っすらかかった富士山も見え、その下には雲海が広がっていた。朝の気持ち良い空気をたっぷり吸い、三ツ峠山荘に戻る。山荘の中村さんがノビネチドリとキバナノアツモリソウを案内してくれた。 朝食後、8時に山荘を出発しのんびり下る。今回のもう一つの目的である都留市の小水力市民発電所の視察である。4月末にテレビで偶然に見て、データを温めていたもので、テレビ放映後に多数の問合せがあり、視察申込みが殺到しているそうで、何とか予約が出来たので視察した。 都留市の水力発電のおこりは、桂川の水を谷村城下町の生活用水と堀として寛永16年(1639年)に家中川として開削された。家中川は水量が豊かで、しかも富士の裾野が尾をひく傾斜地のため流れが急で、水車による動力源の確保に最適であり、穀物の精米・製粉などに水車の動力が利用されていた。明治38年に、民間会社が出力7.kWの谷村発電所が完成し、灯数1,200個への電気を供給した。その後、町営化、東電との合併を経て、昭和29年に取り壊された。 都留市は、平成15年に「都留市地域新エネルギービジョン」を策定し、18年、市民参加型の小水力発電所「元気くん1号」、22年に「元気くん2号」、24年に「元気くん3号」を稼働させた。3台の最大出力合計46.3kWで、市街地に設置されているため、ゴミ除去対策、騒音対策等が施されている。「元気くん」で発電した電気は、市役所、都留市エコハウス、植物栽培施設の電力として、夜間や土・日等は、東電に売電している。 視察は、「元気くん1〜3号」「エコハウス」「植物栽培施設:城南創庫」を見た。「元気くん1〜3号」は、全て開放型であり、環境学習がしやすいように工夫されている。「エコハウス」「城南創庫」は、「元気くん」の電力を活用した施設で、特に「城南創庫」は、高度な環境制御によって、作物を周年・計画生産するシステムで、アイスプラント(南アフリカ原産のサボテンの一種)、ワサビ、レタスが栽培されている。かなりの村おこしになっているようである。皆様も機会があれば、視察されたらどうですか。
 (文/河野悠二、写真/澤登 均)

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