2016年8月 定例山行/常念岳 〜北アルプス南部の入門コースを楽しむ〜


蝶ヶ岳山頂にて

蝶ヶ岳山頂にて

   日時   2016年8月27〜28日(土・日)
   コース  1日目
          上高地BT5:30→6:45明神館7:15→8:10徳沢園8:30→10:00、2162mピーク10:10
          →12:20長塀山12:40→13:10妖精の池13:20→14:10蝶ヶ岳(標高2677m)14:20
          →14:40蝶ヶ岳ヒュッテ(泊)
          2日目
          蝶ヶ岳ヒュッテ4:40→5:00蝶ヶ岳5:20→蝶ヶ岳ヒュッテ5:40→6:34横尾分岐→
          6:48三角点→7:03蝶槍7:13→7:45、2462mピーク7:55→8:50、2592mピークを
          過ぎた草地9:20→10:35、2512mピーク10:45→11:30常念岳直下2800m地点11:40
          →11:50常念岳(標高2857m)12:05→12:50常念乗越、常念小屋13:30→14:25胸突き
          八丁14:45→笠原沢出合15:06→15:28烏帽子沢出合15:43→17:00一の沢登山口17:23
          =(タクシー)=18:17松本駅
   参加者  小野勝昭(L)、濱野弘基(SL)、富永真由美、広瀬雅則、北原周子、
          中村哲也、中村照代、島田恭一、中原三佐代  9名
   記録  文・写真/小野勝昭


 気温が高く、日照時間の長い夏期は体力養成に適し、比較的行動時間の長い山行計画が立てられる。今回は「松本付近から仰ぐ全ての峰の中で常念岳の優雅な三角形ほど、見る者に印象を与えるものはない」とウェストンに言わしめ、常念坊伝説の残る常念岳と蝶の形の雪形で知られる蝶ヶ岳を縦走した。
1日目、夜行バスで早朝上高地に到着した3名に、明神泊まりの4名、徳沢泊まりの2名が合流し前夜から降り出した雨の中を長塀尾根に取り付いた。シラビソ、コメツガ、ダケカンバなどの原生林の幻想的な風景の中を登っていくが、足元は滑りやすく、ぬかるんで歩きにくい。林下のカニコウモリの花やタケシマラン、ムシカリなどの赤い実に慰められながらゆっくりと登っていくと、長塀山に着く頃には雨は小降りになり、対岸の明神岳が樹々の間に見える。妖精の池に小さなサンショウウオがたくさんいるのを見つけ一休み。間もなくガスが晴れ、目前に大きく蝶ヶ岳が聳えて我々を呼んでいた。雨はほとんど止んでいたが山頂からの展望はなく、ほどなく蝶ヶ岳ヒュッテに向かった。(所要時間8時間40分)
ヒュッテにはユースクラブのパーティー5名も来ており交流をする。夜中に三日月が雲間から見えた。



朝焼けの蝶ヶ岳山頂にて

 蝶ヶ岳の日の出、360度の展望に出会う 2日目、午前4時半ヒュッテを出ると東の空がきれいな朝焼けである。思わず小さな歓声を上げた。カメラを片手に蝶ヶ岳に向かう。5時10分過ぎ美ヶ原上空の雲の上から朝日が顔を出し始めると、ほとんどの登山者が両手を合わせて拝んでいる。
快晴無風の中、西に明神、穂高、槍ヶ岳を眺め、その向こうに鷲羽岳、水晶岳を展望する。表銀座と呼ばれる東鎌尾根に続く西岳、大天井岳、これから目指す常念岳を眺めながら快適に歩を進め蝶槍で休憩する。標高差200mを下って樹林帯の登り下りを何度か繰り返すと、お花畑に出た。夏の花はほとんどが終わってしまったが、リンドウ、ウメバチソウ、など秋の花が見られた。2512mピークを過ぎると迫力のある常念岳が立ちはだかるように見え始め、砂礫の手強い登りが続く。大きな岩が積み重なった登山道の赤ペンキの印に導かれ、やがて三角点と祠のある常念岳山頂に着く。



常念岳山頂にて

 風が出てきたので早々に記念写真を撮りザックを背負うと、先ほどまで西穂高岳上空にあった暗雲に覆われ、周りはほとんど見えなくなった。九十九折の岩礫の道を常念乗越へと下る。予定時刻より1時間遅い。昼食を急いで済ませ、小雨混じりの濃霧の中雨具をつけて一の沢へ下りる。標高差600mの急坂を大汗をかきながら約1時間で下り、胸突き八丁で雨具を脱ぎ沢水で汗を拭うと気持ちがよい。ここからは一の沢沿いの樹林帯を延々と下っていく。曇天のため薄暗くなった道を黙々と歩く。途中歩けなくなった男性と付き添いの登山者に出会うが救助要請をしたところだという。我々は全員が無事に登山口に到着し、疲れはあったがみな満足した様子で山行を終えることができた。(所要時間11時間20分)