2016年6月 初級登山教室修了生懇親山行「八海山」


八海山地蔵岳

八海山八ッ峰・地蔵岳山頂にて 奥は越後駒ヶ岳


   日時   2016年6月11〜12日(土・日) 両日とも晴れ
   場所   越後/八海山
   行程   11日(土)
          立川駅北口・多摩信用金庫本店横=(大型貸切バス)7:40=11:30新潟県南魚沼市・
          八海醸造=昼食を交えて八海醸造内見学15:00=宿泊地・民宿やまなみ16:00
          12日(日)
          民宿やまなみ7:30=7:50八海山ロープウェイ山麓駅8:20=8:27ロープウェイ山頂駅
          8:35→9:08大倉口分岐→10:05女人堂(六合目)10:15→11:23薬師岳11:25→
          11:36千本檜小屋(昼食)12:08→12:22地蔵岳→12:32不動岳→14:10女人堂→
          15:30ロープウェイ山頂駅=ロープウェイ山麓駅=(大型貸切バス)=20:30立川駅
          北口・多摩信用金庫本店横
   参加者 25名
          1期生   富永真由美、佐々木芳行、高橋恵子 3名
          2期生   中村敦子、中村照代 2名
          3期生   小河今朝美、松本敦子、中原三佐代、植草由利、市川俊彦、石川由紀子、
                 石原和子、齊藤理恵子、吉川三鈴、 9名
          一般会員 河野悠二、辻橋明子、岡 義雄、東 敦子、北原周子、長瀬秀史、
                 小野勝昭、武藤篤生、土井充、宮ア紘一、山本憲一 11名
   記録 文/山本憲一  写真/長瀬秀史、岡 義雄、河野悠二、山本憲一


 平成28年3月雲取山登山実習で修了を迎えた3期生21名は、5月までに17名が東京多摩支部に入会した。1期生の10名、2期生の3名を加えると、登山教室から入会した会員が30名となった。男性6名、女性24名と女性会員が圧倒的に多い。この新しい会員を迎えるにあたって、どの様な対応をしていくべきかの議論が始まる中、とりあえず、新会員の意見を聞く場を設ける必要があるだろうとのことから修了生会員30名を対象とした懇親山行を企画した。
修了生会員からは3期生を中心とした15名が参加。既に会員活動に積極的に参加している1期生の参加は残念ながら少なかった。

11日(土)
 心配であった天候は梅雨の中休みとなり、2日間の山旅への期待がふくらむ中、貸切バスは立川駅北口を一路新潟魚沼市へ向かって出発した。途中の高速道から特異な山容の妙義山、裾野を広げた赤城山、残雪の残る谷川岳などを車窓の右、左に眺めるうちに、バスは上越国境を貫く関越トンネルを抜けて越後湯沢のリゾートマンション群を通過。途中でかなり休憩時間をとったが、予定の時間より1時間30分ほど早く八海醸造に到着。


雪室の見学

500年以上の歴史のある石動神社前で


工場見学を終えて敷地内を散策

高級焼酎の樽を前に


 八海醸造はカタクリの群生で有名な六万騎山につながる長森山の裾野に大きな敷地を持っている。森の中に研究棟・工場・雪室の他、蕎麦屋、うどん屋、菓子工房、田舎料理の欅苑、八海山みんなの食堂などがゆったりと点在している。新潟食文化のワンダーランドのような体裁である。
本日のお楽しみは、みんなの食堂での賄定食と工場見学・試飲である。早目に到着したことから、駐車場横にある石動(いするぎ)神社に参拝した後、雪室の2階にある雑貨店で時間をつぶしている間に試飲会場を発見して飲み続ける者が続出。中には酒粕から造った超高級焼酎を要求する者もいた。楽しい試飲が終わり、総務課の長久保氏の案内で雪室を見学、待望のみんなの食堂に向かう。


「みんなの食堂」で賄定食をいただく

敷地内の蕎麦屋「長森」の前で


 緑に囲まれた食堂は明るく広々としている。本日の賄定食はポークソテーとサバの味噌煮がメインである。メインが2点、食べ放題の魚沼産コシヒカリのご飯がついて800円也。あまりの安さに驚く。どれだけサービスしているのだろうか。時間の押したせいもあろうが、皆感激のあまりご飯が進む。満腹後に工場内を見学。残念ながら、今は仕込みの時期ではなく、実際の向上作業を見学することはできなかったが、清潔で近代的な第二浩和蔵の様子から「普段飲む日本酒のスタンダード向上こそが、日本酒文化を広めることに他ならない」との八海山の志を感じた。
工場近くの千年こうじや本店で、懇親会用のお酒「八海山特別本醸造」「八海山魚沼で候ふ」を各2本購入し、本日の宿「やまなみ」に向かう。


宿の座敷で懇親会

豪華な賄定食は800円也


 風呂に入り、5時30分から懇親会となる。貸切の座敷に地元の野菜と日本海の幸の料理が並ぶ。さらに宿の主人から地元の銘酒「鶴齢」が差入れされ、5本の日本酒がテーブルに並び、懇親会は始まった。各会員から自己紹介とともに、これからの登山活動について、東京多摩支部へ望むことなどが順々に話され、楽しい宴会が続いた。

12日
 朝、宿前の駐車場から本日登る八海山が良く望まれた。左下方にロープウェイの山頂駅が見え、右手に八ツ峰が続く姿が素晴らしい。本日の天気もよさそうだ。
 ロープウェイ8時の始発を目指して出発するも、始発は8時20分とのこと。仕方なく、山麓駅内を見ていると、巻道には残雪が有りとの表示のそばに、ICI石井スポーツのキャンペーンチラシがあり、カード持参者を含む5名は往復1800円のロープウェイ料金が1500円になると書いてある。カード持参者を探すと2名おり、10名分が1500円、残りの15名は団体割引で1620円となった。早起きは三文の徳といったところだろうか。


ニッコウキスゲ群生地の前で準備体操

宿「やまなみ」の前で


 ニッコウキスゲの群れ咲く斜面の下で準備体操をした後、2班に分かれて出発。鳥居をくぐり、階段の道を登ると八海山遥拝場につく。ここから先は修験の道ということか。
 登山道には次から次へと花が出てくる。コケモモ、イワカガミ、ギンリョウソウ、ウラジロヨウラク、タテヤマリンドウなどが群生したり、ひっそりと咲いていたりする。中に一際数が多く、背が高い植物があちこちに出ている。これは何だと問いかけると、ショウジョウバカマのなれの果てとのこと。ショウジョウバカマがこんなに大きくなるのかと驚く。ゆうに50pはある。さすがに新潟の山だなと感じる。雪解けが遅く、春の花と夏の花が一緒に咲いている。修了生は初めてのことで写真に撮るのが忙しい。誰も文句を言わないので修了生の一人が言った。「こんなにゆるい山行でいいのですか」と。確かに登山教室では花の写真を撮るのもままならないこともあったが、これは懇親山行で、特に厳しい状況ではないので大丈夫と伝えると、こんな山行がうれしいなとの感想がでた。


女人堂

女人堂への急登


 六合目女人堂まではゆったりとした山道続いた。女人堂で昼食の予定であったが、時間が早いので先に進む。ここから薬師岳までは急登となる。登山道の下に雪田が残っている。これがさっきの水場の元か。相変わらず山道には花が咲いている。ゴゼンタチバナ、オオカメノキ、サンカヨウ、ヒメシャガ、シラネアオイ、ミヤマカラマツなどが次から次へと出現する。
薬師岳への詰めには鎖場が待っていた。鎖場を難なく通過、皆元気だ。すぐ先に八ツ峰と千本檜小屋が見える。先を急ぎ、千本檜小屋で昼食をとる。ここからどこまで行けるのか、時間との勝負になってきた。人数が多いので、鎖場の通過には時間が掛かりそうだ。当初予定した不動岳だけまでは行きたいところだ。


最初のクサリ場

千本檜小屋と地蔵岳を望む


地蔵岳山頂

千本檜小屋前にて


 先ずは、地蔵岳を目指す。左手に越後駒ヶ岳が、正面左に中岳が良く見える。右手には福島、上越国境の山が見えるのだが、山座同定が難しい。15分程で地蔵岳到着、越後三山を形成する越後駒ヶ岳、中岳が大きく見える。これから先は鎖場が連続する難所であるとの表示板を見ながら先へ進むかどうか、時間を見ながら検討。皆の雰囲気で行けるところまで行きたいと感じる。安全確保に充分気遣い、先の不動岳に進む。不動岳直下でなんとカタクリの花を発見。この山の花の豊かさを更に思い知った。ここから不動岳へは長い鎖場が続く。下も濡れて、ちょっと悪い感じだ。登りはまだしも下るのに時間が掛かりそうだ。10分程で不動岳に到着。皆感激して写真を撮るのに夢中だ。この先の七曜岳が目の前に聳えている。あそこまでは行きたいと次々と欲が出るが、不動岳からの下りがかなりヤバいとのことで諦め、千本檜小屋へ戻ることにする。今度来る時までお預けといったところだ。


不動岳への分岐点でカタクリを見つけた

地蔵岳から不動岳を望む「行きたいな〜」


不動岳山頂「この先危険の看板」

不動岳へのクサリ場


 下山時ちょっとしたアクシデントが起きた。最後尾グループにいた一人が、前のグループと間が空いたのを詰めようとして、右に戻るのを、反対の左へと向かってしまった。幸い、そちらからくる登山者がおり、すれ違ったことを教えてくれた。大声で呼びかけたが反応なし、2名が後を追いかけたところ、少し先で戻ってくるのを発見。15分遅れで、パーティーに戻る。事故にはならなかったが反省する点はいくつかあり、反省会での話題となった。


不動岳より七曜岳を望む 左奥は中岳

不動岳山頂にて


 15時30分のロープウェイで下山。山麓駅そばのベースキャンプでおいしい八海山の冷水を飲む。中には、麦色の泡を飲む者もあり、楽しい山行を無事終えた。
参加修了生の多くが、山の楽しみ方にはいろいろあるのだと感じたことだと思う。今回は修了生同士及び登山教室関係会員との、のんびりとしたゆるい山行で、互いを知り合い、山の楽しみ方の一つを知るいい機会になったと思う。
これからどんな山を、どの様に楽しんでいくか。まだまだ経験が少ないので、いろいろな経験を東京多摩支部の活動の中で積み重ねていくことを期待したい。
 来年にはまた10名ほどの修了生会員の入会が期待される。毎年10名前後の修了生会員が増え続けると、10年後には何人の修了生会員が在籍することになるのだろう。そう考えると、期待は大きく膨らむ一方、対応もしっかりしないといけないと考えさせられる。





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