10月定例山行/上高地と乗鞍岳


上高地と乗鞍岳

― 御嶽山噴火と台風18号を気に掛けながら錦秋の乗鞍岳に思いを馳せる ―

   日時   2014年10月4〜5日(土・日)
   コース  10月4日
          高尾駅南口6:50貸切バスで出発=乗鞍岳畳平駐車場11:40→12:15肩の小屋12:45
          →蚕玉岳(2901m)13:30→肩の小屋14:25→畳平15:40=貸切バス=沢渡16:30=
          シャトルバス17:10〜山研17:30
          10月5日
          9:00山研出発→明神池10:00→河童橋11:20→11:30山研(昼食)13:20→
          上高地バス停13:50=沢渡14:35=高尾駅南口19:00(解散)
   参加者  飯島文夫、北原周子、高橋恵子、武藤篤生、酒井俊太、中野英次、本多祐造、
          仲谷朋尚、中村美奈子、清水茂美、木谷嘉子、八木佳苗、広瀬雅則、高砂寿一、
          志賀 昴、長島秀行、佐々木晶子、濱野弘基、鬼村邦治、宮崎紘一、小野勝昭  21名

10月4日
 早朝の高尾駅南口には会旗を届けに長瀬会員が既に来ていた。前日、駅のロッカーに届けた食材を貸切バスに積み込み、長瀬会員に見送られて高尾駅を定刻より遅れて出発。中央道八王子JCTで渋滞のため20分待たされ、切れ目の無い車列の中を進む。大月JCTを過ぎると車の数も減り順調に走り出す。安房トンネルを通って岐阜県側の乗鞍スカイラインから乗鞍岳を目指して紅葉に彩られた九十九折の坂を順調に登っていく。標高が上がるに連れて雲海の上に噴煙を上げている御嶽山や白山が見え始めた。真に天空に聳える山々だ。ナラやダケカンバの樹林帯が消えた森林限界を越えると車窓に黒く聳える岩稜を見せながら穂高岳三山が我々を圧倒するかのごとく間近に迫って見えてきた。槍ヶ岳の穂先も見え、車内に感嘆の声が広がっていた。間もなく乗鞍岳畳平バス停に着いた。大型バスが50〜60台は駐車できるほど広く、駐車場の一隅で身支度を整えながら昼食。登山者がかなり多いことや、参加者が21名であることを考慮して、参加者を3班に分けて行動する旨と、畳平に2時40分迄に戻って来なければ沢渡からの最終シャトルバスに乗り換えられないことを説明する。準備体操後、班ごとに好天のもと歩き始める。



 山荘や売店がある建物の脇から石段を下り、不消ヶ池の際に作られたコンクリート歩道を10分歩くと富士見岳の斜面に付けられた車道に出合う。この道を進むとコロナ観測所の建つ摩利支天岳への分岐へ出る。南を見ると、雲海の彼方に中央アルプスと南アルプス、その左に八ヶ岳連峰が望まれる。摩利支天岳の裾を巻いて、車道を下ると肩の小屋と剣ヶ峰が見えてきた。肩の小屋の南側は朝日岳から蚕玉岳、剣ヶ峰へ続く登山道があり、室堂ヶ原呼ばれている。台風18号が接近中の土曜日にも関わらず山頂を目指す人は多く、朝日岳へ人の列が続いている。




 這松帯に作られた赤茶けた登山道から砂礫の急坂を20分ほど登ると朝日岳と蚕玉岳の鞍部にでる。ここは火口壁の一角で反対側は切り立った崖になっていて、右手下に火口湖の権現池が見え、遠くに加賀白山が見える。肩の小屋からの登山道は、山頂からの下山者が多く、順調に登ることも難しい。蚕玉岳(2901m)に登り着いた時は13時30分だ。下りの時間を考えると、この山頂で引き返さねばならない。その旨を皆に伝え、記念写真を撮って下山する。蚕玉岳からは、北に穂高連峰、槍ヶ岳、西に加賀白山、東に中央・南アルプスが望め、大パノラマが広がる。南の御嶽山は剣ヶ峰に隠れて見ることができなかった。45分程で肩の小屋に下り着き、車道を歩いて畳平バス停に向かう。沢渡でシャトルバス最終便に乗り換え、山研に着いた時はもう薄暗くなっていた。入浴後、19時半に始まった遅い夕食と懇親会は台風18号接近による明日の天気を気に掛けながらであったが、初顔合わせの会員達が心を通い合わせる有意義なものとなった。




10月5日
 夜半降り出した雨は早朝一旦降り止んだが、低い雲が漂い、対岸の六百山も見えない空模様であった。6時に朝食をとるも天候調査のため9時まで出発を遅らせ、昨夜行わなかった自己紹介を兼ねた簡単なスピーチを全員が行う。全員の職歴が多様であること、全員が実年齢より相当若く見えることに驚いた。再び降り出した雨の中、宮崎さんの先導で上高地散策に出かける。梓川右岸の木道を明神池に向かう。穂高の伏流水を集めた明神池には、ホタカミノミコトなど日本アルプスの神々を祀る穂高神社の奥宮が鎮座している。見学料を払い、宮川が注ぐ一の池、二の池、三の池を見て廻る。見学終了後、明神橋を渡って梓川左岸を河童橋に向かうと、涸沢あたりからと思われる多くの下山者が大きなザックを背負い、びしょ濡れの姿で足早に通り過ぎて行ったが、河童橋は雨降りの中でも大勢の観光客で賑わっていた。










 山研でゆっくり昼食をとり、内野管理人夫妻に別れを告げ、シャトルバスに乗り上高地を後にする。激しい降雨の中、沢渡から貸切バスに乗り換え高尾駅南口へと向かった。
今回の山行は、台風18号の影響や、乗鞍岳では時間に追われて当初の目的を果たせなかったが、山研での交歓会や共同行動を通して初対面ながら会員同士の絆が結び始めたと感じている。食事の賄い、上高地散策での説明など、皆様の協力で天候には恵まれなかった定例山行が楽しく行えたことに感謝の意を伝えたいと考えます。皆様ご苦労様でした。
(文/小野勝昭 写真/高橋恵子)


「定例山行に参加して」    八木 佳苗(会員番号15562)

2回目の参加となる定例山行。行先は晩秋の乗鞍岳と上高地です。美しい紅葉と展望が楽しみで、私は期待に胸をふくらませながら当日の朝を迎えました。
1日目の乗鞍岳登山は、予定していた剣ヶ峰ではなく、蚕玉岳がゴール地点となりました。剣ヶ峰を目の前にして途中で引き返すのはとても残念でしたが、上高地に移動するために時間の制約があったのでやむを得ません。最高峰への登頂は、次の機会にとっておきたいと思います。それでも、登山道からの展望は十分に素晴らしく、北アルプスの山々など眼下に広がる雄大な景色に何度も足を止めてしまいました。
2日目は朝から雨で、予定していた岳沢への登山は中止となり、上高地を散策することになりました。滑りやすい山道を歩くことに不安がありましたし、展望も期待できなかったので、登山中止の決定を聞いてほっとしました。雨の中の散策ではありましたが、上高地の自然探勝路をのんびり歩きながら、霧に包まれた山々の幻想的な風景と美しい紅葉を楽しむことができました。
宿泊先の山研では、2日間、おいしい食事に感激しきりでした。また食事の席では、先輩会員の方々から登山に関する興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。宿泊を伴う山行ならではの楽しみだと思います。ただひとつ、2日目の朝食後に行われた自己紹介が長時間となり、散策への出発が遅れてしまったことだけは少し残念でした。自己紹介はおひとりおひとりのご経歴やご経験を伺える大変貴重な機会ですが、上高地で過ごせる時間も限られていましたし、出発時間を優先してもよかったのではないかと思いました。
今回の定例山行では、山行委員の方々をはじめ、参加者の皆様のおかげで、とても楽しく充実した時間を過ごすことができました。今後も支部の山行に積極的に参加していきたいと思います。


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