2014年3月定例山行/滝子山


滝子山

   日時   2014年3月23日(日)
   コース  JR笹子駅前 午前8:30集合・打合せ後出発8:40→桜の森公園発9:25→道証地蔵発
          10:05→右岸に渡渉10:50→作業小屋跡発12:35→防火帯上部発13:20
          →滝子山頂着14:00→山頂発14:20→男坂経由桧平15:10→林道終点着16:30
          →パーティ分割17:00→歩行組初狩駅着・タクシー組大月駅着18:00
   参加者  荒井俊雄、飯島文夫、石塚嘉一、石津谷悦郎、岡義雄、佐久間マサエ、西谷可江、
           西谷隆亘、東敦子、SL:小野勝昭、L:浦邉充 計11名

 3月に襲った大雪で心配された定例山行を11名の参加者で実施した。暖かな快晴、最高の山日和になりそうだ。しかし不安もよぎる。2日前の鶴ヶ鳥屋山での凍結滑落事故は、すぐ向かい側の頂稜での出来事なのだ。まず、笹子駅頭でパーティ登山の打合せを行った。内容は@岩稜の寂しょう尾根をずみ沢沿いにルート変更、A行動中に残雪状況で変更があり得ること、B6本以上のアイゼン歩行、C脱水と体調変化に注意、D雪崩、崩落、踏抜き、滑落に注意し、慎重に行動するの5点を確認した。
――全員登頂・無事故を目指して――
 滝子山は標高1,620mのどっしりとした山容だ。標高差1,000mの大きさ、加えてバスを使わず駅TO駅で行ける利点で知られている。もちろん所要8時間前後で健脚向きの山ににランクされている。滝子経験者がリーダー以外にいないので、慎重に安全なコース取りが求められる。全員登頂、無事故を申し合わせて出発。甲州街道はもとより舗装路面は雪も凍結も全くない。途中、完全に倒壊した大型の倉庫の有様に、豪雪の被害を垣間見えた。登山口の桜の森公園で装備点検と準備体操、加えて自己紹介をする。



 林道を登って道証地蔵から先は残雪との戦いだった。雪量は多い所で60cmくらいか。浜立尾根の先端を巻いて沢の左岸は何とか通過できたが、スノ―ブリッジで右岸に渡渉した所からは勾配がきつくなるので、アイゼン着装とした。やがて沢際の砂岩の切れ落ちた危険個所ルートからのう回ルートをとる。トレースが消えた個所も次第に多くなる。沢の最深部付近のため、せっかくの青空は頭上の一部しか見えず、山頂も臨めない。作業小屋跡に到着で12時となり昼食をとる。
 30分後、十分な補給と休養で元気に出発。沢を詰め切り大谷ヶ丸分岐に達し、防火帯下端に着く。やっと澄み切った大きな青空を満喫した。目指す山頂もようやく見える。あとは防火帯を詰めるだけという思いがメンバーの足を軽くしている。二つめの大谷分岐の十字路からは北側斜面で雪量が急増。トレースも右往左往しており、惑わされたことに気づいた。この際と思いきって、冬の特権の締まった雪の林間を急登する。お陰様で、雪に埋もれている鎮西ヶ池をパスして、いきなり中央峰頂上1,620mに飛び出た。着時間は夏より70分遅れの14:00だった。良しとしなければなるまい。




 ――360度の青空と大展望が待っていた――
 狭い中央峰は360度の青空と、遠望できる山々が静かに待っていてくれた。鶴ヶ鳥屋山はすぐ目の前だった。富士山は麓まで姿を見せていた。山頂滞在は約20分間。登頂組は私たちが最終の様子。慌ただしく下山にかかる。下山は東南の初狩方向へ予定通りのルートをとった。頂上直下の急坂では、一挙にぬかるみの様相だ。さらに腐った雪はよく滑りアイゼンは外せない。男坂を経由して桧平に到着。やっと一息ついて大半がアイゼンを外した。このルートでは、これから駅まで2時間はかかり、高度を下げると次第にゴルジュ状の沢の渡渉で、夏でも気が抜けない。




 大休止の後、15:00に麓を目指して出発。北向きの場所は滑りやすく、沢には残雪が溶け貯まってトレースが穴をあけ下が見えている。気の許せない下山が続いた。最後に沢を渡渉して、堰堤の脇にある林道終点に着いたのは16:30だった。下山の最後の辺りで腰痛の持病が発生したメンバーがおり、隊の間隔が大きくなっていた。谷間の夕暮れを考慮し、この林道終点で解散して隊を2分し、それぞれ駅に向かうことにした。先行の4名が初狩駅に到着したのは18:00だった。
 滝子山行は、最後まで雪との闘いだった。メンバーにはそれだけ充実感があったようで、ほとんどは、滝子の魅力を十分味わった、また来たいとの声だった。メンバー全員の努力で、悪条件にもかかわらず「全員登頂・全員無事故」を果たすことができた山行だった。
(文/浦邉充・写真/飯島文夫)

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