11月定例山行/荒船山 1422.5m


荒船山

荒船山艫岩にて


   日時   2013年11月2日(土)天候:晴れ
   集合   JR小海線中込駅前 午前9:50
   コース  中込駅前10:00→(タクシー)→内山峠10:25→登山口10:35→一杯水10:30→
          艫岩12:15(昼食)13:10→14:05行塚山(荒船山最高地点)14:15→14:40星尾峠14:45
          →15:25荒船不動尊15:40下山口→中込駅16:20
   参加者  L:副島一義、SL:小野勝昭、岡義雄、西谷可江、北原周子、竹次優子、東敦子 計7名

〜特異な山容の三百名山、静かな晩秋の山歩きを満喫〜
 山行委員会は11月定例山行を秋晴れの快適な日和の内、長野、群馬両県に跨り、荒海に浮かぶ船に見える山容の荒船山で行った。
参加メンバーは、それぞれ東京から上越新幹線を乗り継ぎ、JR小海線中込駅に定時に集合し、駅前からタクシー2台に分乗して紅葉に映える信濃路を25分程費やして荒船山登山口の一つ内山峠に向かった。
紅葉の見頃な時期の三連休初日とあって、20台ほどの車が留められる駐車場は満杯で、道路脇にも駐車する車が有るほど混雑していた。7〜8人の団体登山者に混じって、2人連れや家族連れの登山者も多い。
我々は例によって準備体操の後、副島Lの先導で山腹の登山道を歩み始めた。晩秋の荒船山に紅葉の薫りが色濃く漂う自然の気配を全身で受け止めるが如く五感を研ぎ澄まし、皆無言で黙々と歩いている。
やがて、左側が切れ落ちている鉄柵の所から九十九折になった山道を50mほど登り、その後小さな登り下りを繰り返しながら山腹を巻いて歩んだ。
傾斜の緩やかな道を尾根を巻き込むようにして登ると、目の前に突然岩の壁が現れた。その基部には岩屋があり、山岳信仰の修験道場跡と考えられる礎石があった。
左に登り尾根上の道に出ると、左側下方が切れ落ちて、下の方に国道が見え、冷たい風が吹き上がってきて心地良い。

艫岩の断崖 約200m

行塚山から星尾峠に向かう登山道


 歩き始めて1時間弱で一杯水と呼ばれる水場に着いた。各自、水分を補給したり、煙草を吸ったりして一息ついた後6m位の木の橋を渡り、梯子や鎖場がある急斜面を90mほど登りきり、船に喩えられる山頂部の船尾になる艫岩に続く平坦な道に出た。(この急斜面は登り下りの登山者が、斜面の上部や下部で待ちながら、相互に身体が通過する順番を待つ程混雑していた。)
この道を大きく回り込みながら少し下ると避難小屋に着き、その周辺で昼食とする。ここには荒船山随一の展望が得られる艫岩展望台があり、眺望の良いときには富士山、北ア、南ア、八ヶ岳連峰、浅間山2588mから榛名山1391m、妙義山1104m等、上州の山々やクライミング同好会がクライミングゲレンデとしている小川山2418m、それに金峰山2599m、国師岳2592m、甲武信岳2475m等の秩父連山が眺められるが、今日は晴れていても霞が掛かっていて、荒船山周辺の黒滝山、物見山、八風山や稲含山、赤久縄山等しか見ることはできなかった。日航機が墜落した御巣高山1639mも残念ながら見えずじまいであった。
艫岩展望台から5〜6m先は、約200mの断崖絶壁となっていて、今年は3人が落命している。数年前には「クレヨン信ちゃん」の作者中沢新一がこの壁から落ちて死去している。副島Lは展望台から1m以内に留まることをくどい程口にしていた。


一杯水上部の梯子

冬枯れの登山道


 昼食を行っていると、TBSTVの記者から艫岩展望台に落下防止の為の柵を設置するか否かのインタビューを受ける。副島Lは「登山は自己責任に於いて行うもの、山は自然の形を維持するもので、人工的な設備は最小限にすべきであり、国定公園内であることや、国の管理責任ということを考慮しても、人工物である危険防止柵設置には反対である」の明確に述べていた。因みにこのインタビューは、日曜日午後に毎週放映するTBS「噂の東京マガジン」の番組で取り扱うので、副島LがTVに映ることもあると想像する。
昼食後、巨大な船の甲板部分にあたる長い山頂部を北から南に向かって歩んだが、登山客の大多数は艫岩展望台から内山峠に戻った様子で、この先は静かな山歩きとなった。小さな流れを渡り、灌木帯の広い稜線の熊笹の生い茂る間に開けられたゆったり道を15分ほど歩んだ所で、避難小屋のトイレが閉鎖されて使用できなかった為、熊笹を50m脇道に入って、小雉子を打ったり、お花を摘んだりし、すっきりして小気味良く荒船山最高点の行塚山に向かった。星尾峠への分岐点で左に折れ、木の根が多く急傾斜の樹木の尾根道を15分ほど登ると、木立の内に行塚山の二等三角点と石祠が目に入って来た。この場所からも近くのローソク岩等は見えるが、南アや八ヶ岳連峰、秩父の山並みを眺めることはできなかった。星尾峠方面の紅葉が見事である。
山頂で一息入れた後、分岐まで下り、左に折れて星尾峠、荒船不動尊に向かい、船の甲板部分と形容される山頂部の大分水嶺を離れることとなった。
黄色に染まった樹林帯の急な木段の道を100mほど下り、山腹の緩やかな道を辿ると東西の峠越への道が交差する星尾峠に行き着いた。この峠は灌木が茂っていて展望は望めないが、晩秋の澄んだ青空を覗くことができた。


荒船山最高地点行塚山1422.5m

一杯水上部の鎖場急斜面


 軽井沢を思い浮かべる様は、黄色く色づいた唐松の林にある九十九折の道を下り切ると、緩やかな沢沿いの道となり、平成19年の台風で林道の一部が崩壊した為の復旧工事で作られた迂回道を下ると、やがて大杉に迎えられ荒船不動尊に着いた。
不動尊ではメンバー全員が無事に終わった山行の御礼を祈った。この駐車場も内山峠駐車場同様、車20台ほどが留められるが、マイクロバスが一台しか駐車しておらず、荒船山からの下山者が少ないことを物語っていた。
迎えのタクシーに再び分乗し、出発地の中込駅前でクールダウンを行った後解散して11月の定例山行を終了した。
この山行は期待通りの眺望はできなかったが、天候に恵まれ、コースも所要時間も、何等問題点となる事項が見当たらず、メンバーは皆それぞれ晩秋の楽しい山歩きを堪能した満足気な表情を浮かべていた。(文・写真/小野勝昭) 

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