東京都分境嶺踏査登山・第13回山行


分境嶺

   日時  2012年11月23-24日(金土)
   行程  11月23日(金)
         JR奥多摩(バス)9:25→鴨沢10:30→12:10大寺山(仏舎利塔)昼食13:10→
         14:15金風呂(すずめのお宿) 宿泊
         11月24日(土)
         すずめのお宿8:00→尾根上部9:25→入小沢の峰11:00→(途中昼食)三頭山西峰12:30
         →都民の森バス停14:46→16:00武蔵五日市駅 (解散)
   参加者 東京多摩支部会員13名(1名日帰り) 一般1名(日帰り)
          西谷可江、西谷隆亘、岡 義雄、小山義雄、松本好正、小松原勝久、栃金正一、
          小清水敏昌、浦邉 充、大関 保、長瀬秀史、山本憲一、小野勝昭、芳賀 馨
          [総括] 長瀬秀史

11月23日(金)
 予報では奥多摩地域の天候は、午前中は弱い雨で降雨量は1ミリ、午後は曇りであったため、雨が懸念されたものの実施と決断した。やはり前日の22日には、5名の方から開催の問い合わせがあった。
そして3年間かけた、このプロジェクトの総仕上げといえる特別山行の朝を迎えた。一般の方との開催は前回12回で終了しているが、登山道ではない都県境の踏査という意味で、藪漕ぎも予想される会員のみ参加の特別な山行である。もっとも、事情により1名だけ一般の方が参加することになったわけだが。
さて、立川駅まで行ってみると、様子がおかしい。信号の点検作業とやらで、奥多摩方面の電車が拝島で折り返し運転をしているとのこと。当然乗車予定であった電車が間引きされて、ホームに入ってこない。しばらくすると、運転再開となったが、今度は大幅に遅れているという。遅れてきた電車を乗り継ぎ、奥多摩駅に到着したのは集合時間を大幅に遅れる8:40。それまで雨は落ちていなかったが、到着後から大粒の雨が降ってきた。到着が遅れたうえ、雨まで降ってきてしまったことで、モチベーションが著しく低下するところをぐっと堪え、まだ遅れてくる会員を待って、9:25発のバスに乗車して、鴨沢にはようやく10:10に到着した。トイレ後、諸畑橋先の入山口まで移動して出発式を行い、小清水委員長のあいさつ、大関委員の山行説明のあと、準備体操をしていよいよ出発となった。


枯葉を踏んで入山口へ

大関委員の説明を真剣に聞く


 このころになると雨も止んで青空が顔を出すまでになった。入山口には「通行禁止」の標識。道もけっこう荒れていてさすがに登山道のない都県境の印象。尾根からの登りは、足元がこの雨で悪く、足を大きく振り上げる動作を繰り返して、1時間ほどで作業道らしき斜面にようやく出た。登山道ではないので、もちろん途中で展望はない。ひたすら地面とにらめっこをしながら進んでいくと、東京都の水源地票が見かけられるようになり、都県境を歩いている実感が湧いてきた。しばらくすると、傾斜が緩やかになり、白い建物が林の向こうに見えてきた。


いきなりの急登が続く・・・

鴨沢の集落を下に見る


 仏像が東西南北に向いている巨大な建物で、どこかの新興宗教のご本山のようだ。むかし雲取山から見えた眺望で、えらく場違いな白く派手な建物は何だろうと今まで思っていたが、ようやくここが大寺山で建物が仏舎利塔であることを確認した。予定通りここで昼食とした。周辺はガスだらけで展望には恵まれない。本来なら、ここ大寺山から金風呂まで都県境を忠実にたどるわけだが、事情により本日の分境嶺山行は、ここで終了となる。昼食中、再び雨が落ちはじめ、急いで記念写真を撮り、林道を辿って今宵の宿へ向かう。日帰りの方2名は、ここ金風呂でお別れとなるのだが、奥多摩駅行きのバスは15:58。宿の部屋に上がってもらって、みなさんと、しばしアルコール抜きの懇談となった。


仏舎利塔をバックに

東京都の水源地票


11月24日(土)
朝、目を覚ましてみると雨音が聞こえる。予報では今日は晴天のはずだがと眠い目をこすりながら、急いで身支度をして宿の玄関に集合する。予定より30分遅れて、8時に出発。雨の影響でそそくさと出発したため、あいさつと体操は省略となった。今日は三頭山までの長い都県境を歩くのだが、雨はやむ気配がない。金風呂から対岸に渡って尾根を登る。ここは昨日と違って踏み跡がしっかりとあるが、急斜面で足元が悪く、所々で足を滑らす場所もあり、気が抜けない。雨とガスとで展望は全くない。


入小沢の峰のプレート

ガスがかかる中でひと休み


 ひたすら登ることに専念して、2時間たっぷりかかってようやく尾根の上部に着いて、三頭山が視界に入ってきた。雨はここでようやく止み、青空が顔を出し始めた。休憩後、出発となったがガスは相変わらず視界を遮り、なかなか眺望には恵まれない。まわりの落ち葉に目を落とすと、なんと雪がついている。標高を稼ぐにしたがって、雪の量が加速度的に増してくる。三頭山への登山道との分岐点である入小沢の峰に着くころには、ガスも晴れて日も差し始め、御前山や雲取山、大岳山など眺望にも恵まれてきた。ここでみなさんと記念写真を撮り、三頭山の山頂で昼食をと思ったが、3連休の真ん中で山頂は大混雑だろうとのことで、山頂直下で昼食とした。


大満足の大関案内人

一般登山道との合流点にて


 その後、三頭山の山頂に到着したが、何か様子がおかしい。見ると、人が倒れていて都レンジャーのジャケットを着た人が、お医者さんはいませんかと声をかけている。どうやら山頂の地面のぬかるみで転倒したらしい。レンジャー隊員が人工呼吸まで始めて、周りは黒山の人だかりとなってしまった。消防と警察へは同行の人が通報したらしいが、心配そうにただ見守ることしかできない。我々もここでは何もお役に立てないとの判断から、早々に下山としたが途中でレスキュー隊員、山岳救助隊員、警察官など30名近くの人々とすれ違った。楽しいはずの登山も、ひとたび事故が発生すると、状況が一変してこうした方々の出動が必要となることを、まじかで確認することになってしまった。都民の森バス停には13:25に到着して、2日間にわたる今回の分境嶺山行は、終了となった。武蔵五日市駅に到着後、下山式を行い総括として山本事務局長、小清水山行委員長にお言葉をいただき、天候には若干恵まれない点はあったものの、この2日間のご協力と合わせて、無事に終了できたことに感謝しつつ解散とした。
 第12回山行で、東京都と神奈川県との都県境・草戸山を起点に、3年をかけた分境嶺踏査山行は終了したが、しめくくりとして計画した今回の山行は、普段は行くことはないだけに、登山道ではない都県境を再認識できた。最後に3年にわたる分境嶺山行の全工程が今回で終了したことに、ご協力いただいたすべての方々に感謝申し上げ完結を宣言したい。どうもありがとうございました。
(文・写真/長瀬秀史)

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