東京都分境嶺踏査登山・第11回山行


分境嶺

   日時  2012年7月28日(土)
   行程  八王子駅南口(マイクロバス)6:50→奥茶屋キャンプ場8:35→棒ノ折山10:40→
         11:40長尾ノ丸登山口(昼食)12:20→日向沢の峰(ウラ)分岐15:20→蕎麦粒山16:35→
         一杯水避難小屋17:55→20:05日原
         ※日帰り     6名 日原下山口20:15→20:40奥多摩駅
          日原宿泊者  14名→20:30ねねんぼう泊
          途中下山者  4名
   参加者 東京多摩支部会員19名  一般5名
          (L:リーダー、SL:サブリーダー、カッコ内一般参加者)
     [1班] L大関 保、SL松本好正、浦邉 充、栃金正一、金 邦夫、石井秀典、西谷隆亘
          西谷可江、北原周子、(末松徳則、工藤政巳、高野勝宏)
     [2班] L小松原勝久、SL大槻利行、岡 義雄、西村智磨子、高橋重之、高橋郁子、竹中 彰
          鬼村邦治、(田中武美、芳賀 馨)
     [写真] 澤登 均
     [総括] 長瀬秀史


 JR八王子駅南口みずほ銀行前に6時30分頃から参加者が集まり始め、集合時間の6時45分には受付を終了して24名全員が揃った。本日は分境嶺山行の中で核心部第2弾ともいうべき長い尾根歩きとなる。前回は核心部を12時間で踏破したが、今回も9時間という長時間踏破への挑戦である。加えて、梅雨明け後の連日の猛暑続きの天気。天候には毎回恵まれているが、熱中症対策には神経質にならざるを得ない。全員が揃ったところで6時50分にマイクロバスに乗車して川井駅経由奥茶屋キャンプ場を目指して出発となった。予定より早く8時15分に奥茶屋キャンプ場に到着。竹中支部長の挨拶後、体操・グループごとの注意点などをおこない、8時35分に棒ノ折山を目指して出発した。


杉木立の急斜面を登る

出発前に全員集合


 清らかな沢が流れる山葵畑の脇を通り、風の抜けない杉木立の急斜面を大汗かきながら登る。10時15分にようやく到着。天気は良いのだが、とにかく暑い。汗がなかなか引いてくれない。着いた山頂は明るく開けていて風も通り、展望もあるため長めの小休止とした。ここが分境嶺の本日の出発点。日向沢の峰、蕎麦粒山を経由して一杯水避難小屋で前回踏破した分境嶺とつながることになる。身支度を整えて、全員で記念写真を撮ってから10時40分に出発。いよいよ分境嶺縦走の開始である。


棒ノ折山山頂にて

いつまで続く急斜面


 アップダウンのないやや平坦な登山道を軽快に歩いていく。仙岳尾根への分岐の慎ノ尾山を通ったあたりから、傾斜が目立つようになり、次第にアップダウンを繰り返すようになって、額から玉のような汗が滴り落ちてくる。杉木立の登山道は直射日光を防いでくれるが、風も通らず、ここでも暑い。それにしても、この縦走路は、眺望のきくところがほとんどない。しばらく行くと大きな山体を巻くようになり、途中で山頂への上り口があった。標識を見ると長尾ノ丸に通じているようだ。そうすると本来の分境嶺である長尾ノ丸へは縦走路が通じていないことになり、山頂だけ登っても分境嶺踏破にはならないのではと迷った末に、山頂を巻くことにした。それにしても大きな山で、いい加減に広い場所に出ないものかと思っていたら、ようやく長尾ノ丸のもう一方の登山口に出た。そこには少し荒れ気味の登山道を遮るように2本の太い枝が横たわっていて、どうやら山頂への縦走路は通ってはいけないように感じた。時間は11時40分。ここで昼食とした。ここまで、ほぼ計画通りに進行している。


いきなりの下り

慎ノ尾山付近


 12時20分に出発して日向沢の峰へ向かう。この山は峰と書いて「ウラ」と読むらしい。山名事典を調べると「ミネ」と出ているのだが。 出発していきなりの急な下り。木や枝、ロープに捕まりながら、危なっかしく降りていく。結構長い下りである。それからは大きなアップダウンを繰り返すようになり、日向沢の峰へは加速度的に傾斜を増していく。それも長い。暑いのと相まって、結構きつくなる。そうこうしているうちに、遠くで雷音が聞こえ始め、雲の流れが相当早くなってきた。日向沢ノ峰への長い急登をぜいぜい言いながら登っていたら、あたりが急に暗くなり始めた。とたんにポツポツ雨が降り始め、あっという間に本降りとなり、急いでザックから雨具やカッパを取り出す羽目になってしまった。さっきまでの晴天が嘘のような天候である。おまけに急に気温が下がって肌寒くなってきた。土砂降りの中を進んでいるうちに、全体の歩行ペースが相当落ちてきたことがはっきり分かってきた。突然、先頭のリーダーから連絡があり、体調不良の方が出たとのことであった。分岐が近づいていたのは分かっていたので、なんとか分岐までは出てもらうようにお願いした。
日向沢の峰の分岐に到着したのが15時ちょうど。体調不良の方は、足の古傷が再発した方と足の痙攣の方の2名であった。お二人ともこれ以上の山行続行は不可能であり、ここで下山ということになった。今回の山行には、青梅警察署・奥多摩交番勤務である山岳救助のエキスパート金邦夫会員が参加しており、サポートとして下山を申し出ていただき、山行委員の浦邉さんと行動を共にしていただいた。


一杯水避難小屋前

蕎麦粒山山頂


 4名の方と別れて、日向沢の峰の分岐を出発したのが15時20分。予定より1時間30分も遅れている。雨は分岐を出発してすぐに止んだが、まもなく晴れてきて暑い日差しが照りつけてきた。分岐からの道は防火帯の中の縦走路で、多少のアップダウンはあったものの、快適に歩くことができた。蕎麦粒山に到着したのが16時20分。ここで記念写真を撮り休憩したが、これから一杯水避難小屋を経由して日原の下山時刻を計算したところ、18時55分の最終バスに間に合いそうもないことが分かった。
バスに間に合わないとなったらタクシーを使うしかないのだが、奥多摩駅にあったタクシー会社の営業所が廃業してしまい、あてにできない。その時、参加されていた石井秀典会員から、車の手配ができないか聞いてみるとの申し出があり、連絡先を何件か当たっていただいた。蕎麦粒山を出発したのが16時35分。途中で水場に寄りようやく一杯水避難小屋に到着したのが17時45分であった。これから日原まで1時間40分はかかるため、途中で日没となり下山予定が大幅に遅れることを覚悟した。


「ねねんぼう」前にて

やっと着いた「ねねんぼう」の夕食


 17時55分に一杯水避難小屋を出発し、ヘッドランプを使って足元を照らしながらの下山となった。途中、石井秀典会員から車の手配が着いたとの知らせを聞いて山仲間の連携の有り難さを痛感した。暗くなると同時に歩行ペースも大幅にダウンしたが、ようやく日原集落の明かりが見えてきて下山口に到着したのが20時05分であった。奥茶屋キャンプ場を出発してから11時間30分。途中、トラブルや天候の急変があったものの今回も12時間近い縦走であった。着いた途端にまた土砂降りの雨に襲われ、解散式を行うことなく、宿泊組の14名と別れて6名の方が迎えに来ていた手配の車に乗車して奥多摩駅に向かった。今回は体調不良の方や天候の急変などがあり、結果的にみなさんにご迷惑をおかけしたことは、計画の立案、体調管理の把握など、課題を多くいただいた山行であったと反省しております。また今回、金邦夫会員には体調不良者の下山サポートのみならず、車の手配までご配慮いただき、申し上げる言葉もありません。この場を借りて厚くお礼申し上げます。(文/長瀬秀史)


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