平日山行/高水三山


高水山

   日時   2012年5月17日(木)
   行先   奥多摩/高水三山
   コース  JR青梅線軍畑駅08:45→09:15高源寺→10:30高水山→11:30岩茸石山→13:15惣岳山
           →14:00沢井分岐→14:45御嶽駅
   参加者  大関保(リーダー)、小川武、浦邉充、河野悠二、橋重之、橋郁子 計6名

 歩幅が定まっている。コースを目測し歩みの回数を計算できる。大関保さんのことである。山行委が開始した“平日山行”の2回目/高水三山のリーダーになっていただいた。JR軍畑駅に8時30分集合。だれが参加するか分からない。とにかく時刻に集合し、定刻を過ぎれば開始するという、そういう決まりになっている。定刻となった。参加は6人ばかり。次の電車/8時44分着を待ち、仲間のいないことを確認。それぞれ安全対策積立金100円を収め、緊急連絡先をシートに記載し出発した。
快晴に恵まれた。新緑がまばゆい。サクラは八重に移り、コデマリやオオデマリ、白いツツジが新緑と競い合っている。野鳥の囀りが声高だ。伐採された山の斜面に、なにかが動いた。目を凝らすと、ニホンカモシカだ。子どものようだ。新緑をほお張るのに懸命だ。こちらを凝視した。視線を手前の落とすと、渓流に黒い影が走った。ヤマメのようだ。
踏み切りを渡り、車道を30分ほど歩くと、曹洞宗/高源寺。標識に従って登山道にはいり平溝川に沿って登る。砂防ダムに出迎えられた。石積みの見事な堤防だ。「城郭の石垣に野面積み、打ち込み接ぎ、切り込み接ぎがある」と教わったことがある。野面積みは自然石を積んだもの、打ち込みは石の接面を平らに加工して積む、切り込みは四角に切りそろえて整然と積む。時代とともに進化したそうだが、これに従えば、平溝川の堰堤は2番目の“打ち込み接ぎ”になる。なぜ手の込んだことをと不思議に思ったが、上部をみて驚いた。ダムの側面は張りぼてだった。


高水山

 高水三山は、20年ほど前に登ったことがある。暗い杉林の続く“陰鬱なコース”だったと記憶している。再度訪れて感じたのは“明るく開放的なコース”に変身していたことだ。杉林がやりすぎと思うほど伐採されていた。コースはよく整備され、間伐材を利用した階段が続いた。10:30高水山を上り詰めた。見通しはきかない。記念写真を撮り、岩茸石山に向かった。11:30着。このほうの展望は素晴らしく、棒ノ折山、川乗山、蕎麦粒山のつらなりをみた。分境嶺踏査の最終地点である小沢峠はすぐ下だ。昼食を取り、惣岳山に進んだ。標高は高水759m、岩茸793m、惣岳756mである。緩やかなアップダウンを楽しんだ。
 惣岳山頂に青渭(あおい)神社がある。式内宮という。古代律令制のころ作成した官社一覧(延喜式神名帳)に「多摩・青渭神社」という記載があり、これに比定されるが、調布などにも同名の神社があり定かでない。境内で休憩した。倒木に腰かけ大関さんの冒険談を聞いた。イエティも登場した。まさに林間学校である。時を忘れた。長居したと思った。急いで下る。高圧線鉄塔のあるコブを越えるとジグザグのコースとなり、14:45御嶽駅にたどりついた。駅で大関さんの計画表をみると「御嶽駅14:45到着」とあった。大関さんの歩みは、きちんと計算されていたのである。(文・写真/橋重之)