自然保護委員会、小学生を引率し高尾山に登る


高尾山

   日時  2011年5月7日(土)
   行程  集合/JR国立駅09:09→09:40京王高尾山口駅10:00→琵琶滝→浄心門
         →(1号路)→薬王院(昼食)13:00→高尾山山頂13:30→(1号路)→15:45京王高尾山口駅
         16:08→JR国立駅16:40/解散
   参加者 ▽国立市立第四小学校/
          田原佳江校長と児童12人(1年1人、2年4人、3年3人、4年1人、6年3人)、父兄6人
          ▽育成会/橋等、松哲夫、松泰子、藤田貴裕、山上園子
          ▽東京多摩支部/大船武彦、笠原功、柄澤洋城、城所邦夫、河野悠二、小清水敏昌
           澤登均、橋重之、橋郁子、田中恵美子、長谷川公子、廣田博、山本憲一
           計 37名


 主催は育成会。児童・父兄、支部会員ら37人が参加。
5月7日、国立市立第四小学校の児童を引率して高尾山に登った。あいにく小雨交じりの空模様だったが、日ごろの混雑なく、静かな山行を楽しむことができた。レインコートを着た子どもたちは元気だった。新緑が瞳に映って輝いた。
参加した児童は12人。1〜2年生は保護者同伴を原則とし、お父さん・お母さんが6人加わった。主催していただいた育成会からは5人。これに日本山岳会から13人が加わり、総勢37人という大人数となった。08:50、JR国立駅に集合。京王高尾山口駅で東京多摩支部のみなさんと合流した。
東京多摩支部が一般の人たちと山行を実施するのは、分境嶺踏査を除くと初めてのことである。小学生に山登りの楽しさを味わってもらおうというのだから、堂々とした“公益事業”だ。日本山岳会が公益社団法人に移行するのを控え公益事業活動を強化したいと考えた。実施するからには、日本山岳会らしい山登りを指導したいとも思った。主催した育成会には「山登りのベテランが指導します」と伝えてあった。
育成会は、地域住民と学校、保護者が協力しあって青少年を健全に育てていこうという趣旨の団体だ。都条例に基づいて全市町村に設置され、多摩地域には49市町村に約700人の委員が活動している。国立四小の育成会は正式には「国立市青少年育成四小地区委員会」という。橋重之も委員のひとりとしてお手伝いしている。
実は、四小育成会のハイキングは今回が初めてではない。草花丘陵や浅間嶺などに出かけたことがある。4〜5月に実施した。しかし、指導者がいない。この季節は結構雨が多く子どもたちを気遣って少しの雨でも中止した。そんなことが重なっていつの間にか、実施しなくなっていた。ことしは日本山岳会のお兄さん、お母さんが手伝ってくれるというので大喜びだった。


 日本山岳会らしい登山を心がける。
京王高尾山口駅には10:00に集合。山岳会のお兄さん、お母さんをみんなに引き合わせた。育成会の橋等会長があいさつ。日本山岳会を代表して柄澤洋城・支部自然保護委員長は「きようは、あいにくの天気だが、大きな樹が雨をさえぎって傘の役割をしてくれる。元気に登ろう」と話した。4班に分けて出発。コースは1週間前に実施した下見のとおり、6号路から琵琶滝を経て浄心門に向かって登る道を選択した。とっかかり、稲荷山コースの入口で変わった樹に出会った。葉っぱの先が金魚の尾ビレのように切れ込んでいる。柄澤さんが“キンギョバツバキ”と紹介した。みんな、目を丸くした。白いシャガの花が際立って、道案内をしてくれた。新緑が雨に輝いていた。滝から6号路を別れ、樹林帯に入った。
足を谷側に滑べらせないか、トイレは大丈夫か。休憩をどこで取ろうか――。引率者としては気を休めない。写真を担当していただいた澤登均さんが撮影のかたわら、植物を解説。キジョラン(鬼女蘭)を見つけて「この葉はアサギマダラという蝶々が食べる。ほら、葉にアナが開いているところが、そのあとだよ」などと説明。南の島に飛んでいって、その子どもが高尾山に帰ってくると聞き、またびっくり。


 雨のせいか、植物の説明に夢中になったのか。正午近くになっていた。浄心門から1号路を通って薬王院へ急いだが、雨の中、食事の場所に困った。しかし、毎日のように登っている澤登さんの口利きで薬王院の休憩所が場所を提供してくれた。こんなにありがたかったことはない。ゆっくりと食事をとることができたし話をすることができた。城所邦夫さんには気象の話をしていただいた。山の高さと温度の関係など、わかりやすい話に、またまたびっくり。
山頂には13:30到着。記念撮影をした。12人の子どもたちが、それぞれの手にVの字をつくった。24の瞳が輝いた。雨は上がっていた。みんな満足そうだった。下りは1号路をひたすら歩いた。途中で足にマメを作った子もいて心配したが、絆創膏を張ってもらって元気に歩き通した。16:40、JR国立駅に帰った。ご協力いただいた支部会員のみなさんに厚く御礼申し上げます。
(文:高橋重之  写真:澤登均)
あとがき
 東日本大震災の影響で自粛しようという声がなかったわけではない。しかし、「理由はなんであれ、すぐに中止するのはよくない。楽しみにしている子どもたちへの影響も考えるべきだ」と育成会の橋等会長は考えた。雨の心配もあったが、「ことしは日本山岳会が支援してくれる」と実施した。結果的には、すばらしいイベントだった。いろんな困難を乗り越えやり遂げてゆく意思・姿勢を貫いたことがよかったようだ。「来年も続けてほしい」という声が多数寄せられている。