平成25年度三支部合同懇親山行  山梨・埼玉・東京多摩支部が御岳山で開く




 山梨、埼玉、東京多摩の三支部が9月14・15日、東京・青梅の御岳山で合同懇親会を開催した。あいにく台風18号の影響で大雨となり、予定していた大岳山には登れなかったが、その分、大いに楽しく歓談することができた。三支部合わせて40人(東京多摩24、埼玉13、山梨3)が参加した。
合同懇親会は2回目だ。どういうわけか雨にたたられる。昨年は埼玉支部が主管し、雲取山で9月に開催しようとした。台風が接近し12月に延期したものの実施できず、翌年4月になって「三度目の正直」のとおりようやく開催できたが、雪に見舞われ、雲取山荘への到着が大幅に遅れた。その反省で今回は御岳山に会場を設営したのだが、またも雨である。

埼玉支部大久保支部長挨拶

多摩支部竹中支部長挨拶

 会場としたのは御師の宿坊「山楽荘」。午後2時に受付を開始した。もう雨が降り出していた。全員そろったところで、片桐御師の話を聞いた。御岳山は、信仰の山として発展してきた。山上にある武蔵御嶽神社は第10代崇神天皇の代に創建されたと伝えられている。詳細不詳。古来、庶民の御嶽詣でが盛んで、「講」という集まりをつくり祈祷師/御師の先導でお参りした。御師の家は一般に開放され、いまも宿坊として利用されている。参道には御師の家が数多く並んでいる。

山楽荘主人・片桐御師

山梨支部古屋事務局長挨拶

 続いて、金邦夫会員の話を聞いた。ことし3月まで20年にわたって青梅警察署山岳救助隊で、山岳救助活動に従事してきた。年間40件ぐらいは救助に出動していたという。東京の山岳遭難は意外に多い。警察庁が毎年6月に全国の山岳遭難状況を発表する。もっとも多いのは長野県、次いで富山県、北海道などとなるが、東京都は上位にランクされる。ときには7位、9位などとなる。あまり報道されないためか、たくさんの人が気軽に登ってきて遭難する。多摩の山を侮ってはいけない。五日市、高尾警察署と分担して救助に当たるが、青梅が断トツに多い。
ことしは9月までにすでに37件発生した。遭難は秋に多く、気懸りだという。行方不明のままになっている人もいる。現役のころは、休日を返上して捜索した。どうしても見つからない。行方不明者は、みんな男性だ。中高年で単独登山である。黙って出かける。これでは探しようがない。少なくとも、家族に行く先を言ってほしい。
金会員は多くの事例をあげた。安易に救助を頼まれることも多くなった。日ノ出山で18人のパーティーから「仲間のひとりが歩けない」と要請された。駆けつけてみると捻挫らしい。救助隊員が30分ほど交代で背負って下した。救急車を待たしたが、下へ降りると電車で帰るという。たいした事故ではなかった。どうして仲間が助けてやれないのか。東京の大きな山岳会だったという。金さんは「ヤマヤのプライドがない」と言った。日本山岳会の会員には、そのような恥ずかしいことをやってもらいたくない。

多摩支部小川幹事長による乾杯発声

金邦夫氏

和やかに交歓

宴会もだいぶ進んできました

 雨は降り続いた。予定していた大岳は、その特異な山容から、多摩のランドマークとされている。古書「武蔵通志」は『両総地方にて武蔵の鍋冠山と称して海路の目標とすなり』と記し、東京湾の船上から航路の目標としたことを伝えている。二百名山のひとつである。一度は登ってみたいと楽しみにした参加者も多かったが、やはり中止となった。朝食後、早々に下山した。帰りのJR青梅線は大幅遅れていた。車両は、自転車並みの速度で走った。来年は、山梨支部の主管で実施する。

各部屋で二次会が始まる

多摩の七つ締めで中締め

(文・橋重之、写真・飯島文夫)


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