「金邦夫さんを囲む会」開く




――山岳遭難救助を慰労、東京多摩支部から40人が参加――

 警視庁青梅警察署の山岳救助隊で活躍されてきた金邦夫会員がこの3月引退された。その労をねぎらって「金邦夫さんを囲む会」が5月31日、立川市の立川グランドホテルで開かれた。
発起人は、神崎忠男さん(日本山岳協会)、佐藤旺さん(東京都山岳連盟)、斎藤義孝さん(日本勤労者山岳連盟)、山森欣一さん(日本ヒマラヤ協会)らが勤めた。代表して、神崎さんが「登山界が大きく変わろうとしているが、登山の安全と自然保護の大切なことは、昔もいまも変わらない。その安全に長く携わってこられた。ご苦労さまでした」と挨拶した。
金さんは、1947年、山形県小国町生まれ。高校時代から東北の山々を登ったという。66年警視庁警察官となった。70年警視庁山岳会「クライム・ド・モンテローザ」設立(現会長)。国内の岩場、冬季クライミングに熱中、ヨーロッパ三大北壁などに挑戦した。機動救助隊、五日市署山岳救助隊などを経て90年青梅警察署山岳救助隊。以降、20年にわたって救助活動に従事してきた。2007年、全国優秀警察職員として警視庁長官賞、警察功労賞を受賞した。日本山岳会会員(東京多摩支部所属)。著書「我が青春の北壁」、「奥多摩登山考」、「金副隊長の山岳救助隊日誌」がある。雑誌「岳人」に「すぐそこにある遭難事故」を連載中だ。

金氏挨拶

佐藤旺氏の発声で乾杯

 慰労会では「高校時代は飯豊山地、朝日連峰などの山に登った。警察で山岳遭難救助に携わり最後の20年は奥多摩だった。充実した20年だった。年間40件ぐらいは救助に出動した。何日も探して、なお発見できなかったこともある。心残りだ。いい友達がふえた。なにものにも代えがたい財産だ。大切にしていきたい」などと、長い救助活動を振り返った。慰労会には苦楽をともにしたすみ子夫人、また娘さんの美穂子さんも同席された。何度も何度も「お疲れ様」と言ってうなずいているようだった。金さんがまぶしかったに違いない。

金氏御家族

多摩の七つ締めで中締め

慰労会には70人近い山好きが駆けつけた。日山協、都岳連、労山などのほか、HAT-J、アルパインガイド協会、青梅警察署、都交通安全協会などのみなさん。日本山岳会東京多摩支部からは竹中支部長をはじめ、約40人が参加した。宴会は雲取山や御前山、鷹ノ巣山など8つのテーブルに分かれ、それぞれに金さんとの出会い、活動、山登りなどを語り合った。
(文/橋重之 写真/澤登均)




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