安全登山講習会「読図登山・観天望気」    (安全委員会)


   日時   2013年11月23日(土)
   会場   陣馬山周辺
   参加者  石井秀典、浦邉 充、大船武彦、岡 義雄、川村光子、小川 武、 北原周子、
          小松原勝久、副島一義、高橋郁子、竹次優子、竹中 彰、土井 充、
          西村智磨子、西谷可江、武藤篤生、山本憲一、小山義雄  18名
   講師   ・読図登山/宮崎紘一  ・観天望気/城所邦夫

読図山行参加者

宮崎講師と読図登山メンバー


 安全委員会主催の第3回安全登山講習会。講習会当日の11月23日は雲ひとつない快晴。勤労感謝の日でもあり、集合場所のJR高尾駅前のバス停周辺は大混雑だった。読図登山の目的地・陣馬山はさすがに人気の山で、出発点の陣馬高原下へ向かうバス停は長蛇の列。これまた人気の小仏峠方面へ行くバス停と「同居」しているので、混雑度は倍返し状態。参加者は、高尾駅に到着順でバス停に並んだものの、結局2つのグループに分かれて陣馬高原下に到着することになってしまった。
 全員が集合後、読図登山の宮崎講師が作成した教材の地図と山座同定用の展望図が配付された。講習会の主旨、注意点などを受けて出発。まずは、奥高尾縦走路の底沢峠を目指して、オキナツルシ沢沿いの簡易舗装路を歩く。地図には要所にマーキングが記入され、地図と照らし合わせながら確認してゆく。

オキナツルシ沢沿いの要所で地図をチェック

出発前に宮崎講師(右端)が基本をレクチャー


 宮崎講師は「現在地を確認しながら歩くこと。例えば、実際の道路が曲がっていても地図上では真っ直ぐ描かれていることが多いので確認は不可欠。山では特徴のない地形もけっこう多いので、地図との照会はしっかりやりたい」と参加者にレクチャーする。読図の目的のひとつは、自分の位置を特定することだが、標高の把握も目安になると付け加えた。
 参加者は、コンパスと地図を見比べながら、建物や施設、周囲の谷などの地形を確認して歩く。地図上で方向を確認する方法はちょっとコツが必要だ。宮崎講師から直接コンパスの使い方を教えてもらっても、なかなかすぐには理解できない参加者もいる。
 簡易舗装が途切れ、山道に入るところでは地図にない道が左右に分かれ、さらに実際の山道は地形図とは違う方向に伸びている。「地形図の道はあてにならないことが多い。自分が登っている場所はしっかり確かめよう」と宮崎講師。


快晴なので山座同定も簡単・・・かな

メンバー同士でコンパスの使い方を確認


 底沢峠での休憩を利用して、木の間に見える山は何かと、山座同定が行われた。竹下通りのように人通りの多い縦走路に入り、宮崎講師から「尾根道の実際はジグザグの場合が多い。急に曲がっていることもある。上りはともかく、下りではそうした場所で注意しないと迷うことがある」と教えられる。明王峠では富士山が見えた。先へ進んですぐ、陣馬山方面から来た第1期初級登山教室のK氏夫妻と遭遇。挨拶もそこそこに陣馬山へ向かう。陣馬山手前でも、地形図と実際の山道の付けられ方の相違を教えられた。人混みの陣馬山頂を避け、北東の斜面で昼食となった。芝生の上は暖かく、ハイキング気分でくつろいだ。全員で記念撮影後、宮崎講師は所用で下山、。ありがとうございました。


観天望気参加者

城所講師と観天望気メンバー


 午後1時、陣馬山の白馬前で午後の部・観天望気の城所講師と合流。受講メンバーは一人を除いて同じ顔ぶれ。運よく空いたテーブルを陣取って講習が開始された。とはいえ、頭上は雲ひとつない快晴。西の丹沢、御坂山塊あたりに積雲はあるが、観天望気には、なんとも残念な(?)日和だ。午前3時の天気図をもとに、当日の概況が説明された。
 「晴れてはいても、よく見ると低い部分には霞がかかっています。これは、明日の午後くらいまで今の晴天が続く印。天気が悪くなる前は、この霞が取れて視界がよくなるのです。それが確認できれば、1日ほどで天気は悪くなるはずです」と城所講師。また、丹沢、御坂山塊にある雲を見ながら「あさってあたり天気が悪くなるかも知れません。その場合、富士山にレンズ雲がかかるはずです」と指摘。実際に、丸一日たった25日の天気は下り坂で、夜には北陸、中部地方、関東、東海から北海道にかけて、強風や激しい雨の悪天となった。


当日の天気図が教材の一つ

陣馬山頂の一角で講習中。右端は城所講師


 その後、観天望気の三要素として「温度・風・雲」があげられると説明。温度については「気温が上がると天気は下り坂、その逆は上り坂。今日は気温が低いので天気はもつ」と断言。風は「南から東よりの風は低気圧の接近の証拠。北から西寄りの風は晴天。さらに、ふだんとは違う風の変化があったときは、天気が変わると考えていい」というヒントを教えていただいた。三つ目の雲は、配付された十種雲形のプリントに基づいて説明された。丹沢、御坂山塊方面の雲は積雲で「輪郭がはっきりしているのでまだ晴天が続きます」と。また、自身の経験から、黒っぽい朝焼け・夕焼けは水蒸気を多く含んだもので悪天の兆し。太陽や月にかかる暈は巻層雲によるもので70%の確立で悪天。さらに、いつも聞こえない音も天候の変化を知らせてくれる。とくに、南からの音は南風が吹いている印だから要注意などなど、具体的な例を挙げていただいた。


紅葉の中を和田峠へ下る

快晴に恵まれた陣馬山頂で。正面に生藤山


 最後に、長野県山岳総合センターが作成した「長野県内における主な山の観天望気紹介」が配られた。主な山岳での観天望気を集めたものだが、観天望気の三要素がそのまま当てはまる現象が数多く記載されている。ここで内容を記載できないのが残念だが、有用なデータだ。
 快晴の白馬の前で第2部の記念撮影を行って講習会は無事終了。陣馬高原下からバスに乗り、高尾駅前で有志が懇親会を開き、今年度の安全登山講習会を終了した。
(文・写真/小山義雄)



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