安全登山講習会「テーピング」報告   (安全委員会)


テーピング

   日時   2013年10月31日(木)
   会場   立川市女性総合センター5階 第3学習室
   参加者  飯島文夫、石井秀典、市川義輝、浦邉 充、大船武彦、岡 義雄、岡田陽子、
          小川 武、北原周子、河野悠二、小松原勝久、高橋郁子、竹中 彰、西村智磨子、
          西谷可江、西谷隆亘、宮崎紘一、武藤篤生、山本憲一、渡辺篤夫、小山義雄  21名

 会員相互の知識・情報・技術の共有化と平準化のための講習会の第2回。講師は、都学連で活動し、日本山岳ガイド協会員でもある針灸師の橋本利治氏と、健康運動指導士・メディカルトレーナーとしてスポーツ選手のケアも行っている岡田智一氏。
 まず、橋本講師によって「起源・歴史」「包帯との違いやメリット」「テーピング時の注意」「効能」「テープの種類」などの基礎知識が紹介された。このなかで、使用するテープのほとんどがインチハーフと呼ばれる幅3.8cmのもので、捻挫などの事後には伸縮性のないテープ、捻挫予防には伸縮性のあるテープが効果的であり、膝や肘などの関節部にも伸縮性テープのほうが使いやすいと指摘。
 次に、テーピングには「外傷予防・応急処置・再発予防」という3つの目的があり、ケガを負ったときの処置として「ROCE処置」が重要と説明。
「R」=Rest/安静(幹部を動かさない)。
「I」=Ice/冷却(患部を冷やして内出血や炎症を抑える)。
「C」=Compression/圧迫(幹部を圧迫し出血や腫れを抑える)。
「E」=Elevation/挙上(幹部を心臓より高く上げて内出血を防ぎ、痛みを緩和する)。
 こうした基本を頭に入れ、参加者は実技に移った。

スターアップ

アンカー

ヒールロック

ホースシュー

フィギャーエイト


 実技は、岡田講師が橋本講師をモデルに、足首を捻挫したという想定でのデモンストレーションから始まった。ここで使われるテクニックは「アンカー」「スターアップ」「ヒールロック」「フィギュアエイト」で、この4つがもっとも重要。アンカーはテーピングの土台となるもので、くるぶしから指4本ほど上の足首に巻く。あまり上に巻くとふくらはぎの筋肉を圧迫してしまう。足の甲には巻いても巻かなくてもいい。次のスターアップは足首の横ブレ・内反の防止が目的。スターアップのテープ補強とアキレス腱の保護のために「ホースシュー」も行われた。ヒールロックは、たすき掛けで踵を固定するテクニックだが、手慣れた講師のワザを見ただけでは理解不能。全員が首をひねっていた。仕上げのフィギュアエイトは足首の安定感を保つもので、8の字を描くように、くるぶし→土踏まず→甲→アキレス腱と巻く。
 デモでは、参加者が分かりやすくという配慮でカラーテープが使われたが、1回で理解できた参加者は果たしていたのだろうか。


講師のようにうまくいきません

いつもより真剣そのもの


 デモのあとは、参加者が二人ひと組で取り組んだ。テープが一人2個ずつ配られ、テキストを見ながら、思い出しながら、基礎のアンカーを巻き始める。あちこちから、次はこうだ、ああだ、それは違うなどと、声が上がる。ロープワークのときが思い出される。橋本講師と岡田講師が参加者の間を回りながら適切なアドバイスを行ってくれた。そうしたサポートもあって、曲がりなりにも足首のテーピングはできたようだ。テープを巻いた素足でフロアをウロウロしながら、テーピングの感触を確かめる参加者の様子はちょっと変。
 参加者のなかには、かつて経験したり、頭の中では理解していた者もいたようだが、改めてレクチャーを受けることでさらに確実な手法と理解が深まったのではないだろうか。いつもながら暖房が強い第3学習室だったが、真剣に取り組んだ参加者は汗をたっぷりかいていた。
 最後に、岡田講師から「足関節捻挫の評価法」として、捻挫と骨折の見極めのレクチャーがあった。足首周辺4カ所の触診で痛みの診断をし、痛みがあれば骨折の疑いあり。痛みがなくても「受傷後、一人で4歩続けて歩けたか」「今、一人で4歩続けて歩けるか」の2つでNOならば、骨折の疑いありという話。これは参考になった。


岡田智一氏

橋本利治氏


 前回の「ロープワーク・セルフレスキュー」同様、この1回の講習で理解できるものではなかった。何回か繰り返さないとイザというときに「巻きこなせない」だろう。さらに、講師の話のなかにもあったように、間違えて巻くと逆効果にもなりかねない。参加者の皆さんの復習に期待するところだ。
(文・写真/小山義雄)




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